精度改善のキモはログ解析 その重要度とは?――続・「Simeji」の日本語入力システム入門“いれたてのおちゃ”で分かることって?(4/4 ページ)

» 2015年06月22日 10時00分 公開
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スマホ化で進化する日本語入力システム 変わらない日本語の重要性

小町氏 従来の日本語入力システムはPCがメインでしたが、スマートフォンで使われるようになって、新しい可能性が広がりつつあります。例えばGPSなどを使った位置情報を元に、ロケーションに合わせて変換結果を変えるという研究や、英語と日本語を交ぜて入力しても言語を判別してくれる機能、もちろん入力ログを使った研究も数多くあります。

 こうした、補助的な情報を使って変換結果を変えたり、入力時のシチュエーションを判別して変換結果を変えたりというトレンドが1つあります。

 また90年以前から続く伝統的な日本語入力システムは、ユーザーの頭の中にある言葉をいかに正確に出力させるのかに注力してきました。しかしスマホ時代になって予測変換が一般的になってきました。

 予測変換では、最初の数語を入力すると続きの言葉が出てきて、発想を刺激されます。ユーザーが思いついていないような言葉を提示することができて、「あ、これを入力したかった」と感じてもらえます。こうなると従来の変換精度では測れない面も出てきますね。

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加藤氏 このあいさつをもう少し丁寧な言い回しにしたいとかですね。Simejiも1年くらい前から、時間や現在位置に合わせて変換候補を変えたり、使っているアプリで辞書を変えたりといったことを検討しています。前もご紹介しましたが、ナビゲーションアプリを使うときは住所や地名、ランドマークの名前が先に出てくるとか、メッセンジャーアプリなどのリアルタイムなコミュニケーションアプリでは話し言葉っぽくなるとかですね。

 また変換候補とは別の要素になりますが、付近のスポット情報や今やっている映画などのインフォメーション、アニメの台詞が入力されたらそれに関するキャラクター名を表示できるなど、書くためのアシスト機能も考えています。

 約束の時間に遅れるとき、メールやメッセンジャーで「今○○の近くだから、■■分遅れます」という文章を書く場合があります。その場合、自分がどこにいるのか知りたくてマップを確認したり、ナビアプリで到着時間を検索したりします。そうするとアプリを切り替えることになって、ちょっとした文章なのに入力の手間が大変ですよね。

 もし日本語入力システムのほうで、スマホの現在位置といった関連する情報を差し込めるのであれば、こうした文字入力がもっと楽になります。自分の状況に合わせて代筆してくれる感覚ですね。

小町氏 こうした機能がどんどん追加されて便利になっていくと、人間が頭を使って日本語を考えなくなる――という意見が出てくるのですが、私はそうは思いません。

 言葉はそもそも移り変わっていきますので、技術の進化で生活様式が変わるように言葉も変化していきます。例えば複写機やコピー機が出てくる以前は、本や文書を直接人力で書き写す必要がありました。写経ですね。書き写すにはものすごい時間がかかっていましたが、それが短時間でコピーできるようになって、しかも手で写すよりはるかに正確です。そして、写経ができなくなったわけでも、何かが失われたわけでもありません。

 カメラもそうです。以前は写実的に描かないと伝えられなかった景色が、カメラなら一瞬で記録できるようになった。さらにデジタル化してネットで送受信できるようになりました。だからといって、絵画の重要性が失われたと思う人はいないと思います。

 言葉についても同様ですね。ワープロが出てきて手書きの良さが失われたという人もいましたが、手紙を手書きする良さが失われたわけでも、否定するものでもありません。効率性やビジネスシーンに与えた恩恵を考えると、手書きに戻りたいと思う人はいないと思います。

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