MNPの利便性がさらに向上――「DMM mobile」が“業界最安”の次に目指すもの(1/2 ページ)

「業界最安」の看板をひっさげて華々しく格安SIMサービスをスタートさせた「DMM mobile」。サービス開始から1年がたったが、実は当初から戦略を変更したのだという。この1年で見えたこととは? そして、今後はどのようなサービスに進化させていくのだろうか。

» 2016年03月08日 10時00分 公開
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DMM mobile

 2014年12月にMVNOに参入し、格安SIMサービス「DMM mobile」を提供しているDMM.com(以下、DMM)。玉石混交ともいえるほど多くのプレーヤーが参入しているMVNO業界だが、DMMは1年以上にわたって業界最安クラスのプランを提供しており、格安SIM最大のメリットである「安さ」で、業界をリードしている。そんなDMM mobileは、今後どのような道を歩んでいくのだろうか? DMM.com取締役 野村太郎氏に話を聞きながら、同社の戦略を探っていきたい。※本稿での価格はいずれも税別。

野村太郎 DMM.comの野村太郎取締役

MNPの障壁を解消する「おうちで乗り換え(MNP)」

 DMMにとって、モバイル業界に参入するのは初めてのことで、「MVNOは難しいというのが率直な感想でした」と野村氏は振り返る。「安いと言っても、携帯電話とSIMカードが分離することすら理解していないお客さまが多数いらっしゃいます。それで会員がなかなか伸びないと感じる部分はあります」(野村氏)

 また、当初は「1000万会員」を目標に据えていたが、この数字を達成するには膨大な広告費を投入せねばならず、その原資を得るために通信料を上げないといけない――という悪循環に陥ってしまう。「そこまでしてユーザーを獲得するくらいなら、業界最安値で利益を薄くして還元しよう」(野村氏)と考え、広告は最小限に抑え、契約の獲得よりもサービスの継続を優先して考えた。

 こうした地道な努力が功を奏して、DMM mobileの契約数は2015年12月25日に10万を突破し、順調に成長し続けている。そんな中で、課題もあった。

 DMM mobileのSIMカードや端末はオンラインでのみ販売しており、量販店や専門店などのリアル店舗では購入できない。そうなると問題になるのが、MNPで契約をした際に、携帯電話が使えない期間が生じてしまうこと。DMM mobileのSIMカードをMNPで契約すると、DMM側で開通作業を行うため、開通してからユーザーのもとにSIMカードが届く1〜3日間は、通信できなくなってしまう。

 そこでDMMは、この問題を解消すべく、2月24日から「おうちで乗り換え(MNP)」を提供している。これは、DMM mobileをMNPで契約した際に、回線の切り替えをユーザー自身が行えるというもの。ユーザーから申し込みがあると、DMM mobile側でMNP予約番号を照会した後に、ユーザーにSIMカードが発行される。SIMカードが届いたら、ユーザーはDMM mobileの「マイページ」から電話番号の切り替え手続きをすればよい。好きなタイミングで乗り換えられるので、不通期間を防ぐことができる。

DMM mobile DMM mobileのサイトで、MNPの手続き内容が案内されている

 格安SIMを2台目のサブ機に使うのであれば、多少の不通期間が生じても大きな問題にはならないが、メインで使っていると、携帯での通信手段がなくなるので致命的だ。実際、DMM mobileもサービス開始当初は2台目で使う人が多かったが、最近はメインで使う人も増えているそうだ。おうちで乗り換えにより、MVNOへ乗り換える際の障壁が解消されたといえる。

 一方、MNPに関連する課題はもう1つある。DMM mobileでは最大3枚の通話SIMを1回線でシェアできるが、MNPできるのは主回線のみで、2〜3枚目のSIMカードはMNPでは契約できない。例えば家族でDMM mobileにMNPで移る場合、シェアコースを選ぶと、2枚目以降のSIMカードは、以前のキャリアで使っていた電話番号を引き継ぐことができない。野村氏によると、この点は改善を検討しているとのことだ。

「業界最安」よりも「品質」を重視

 DMM mobileといえば「業界最安値」にこだわり、他社がさらに安いプランを提供してきたら、すかさずDMMもさらに安くなるよう改訂を繰り返してきた。しかし現在はその方針は変更したという。その根底にあるのは「通信品質」だ。

 「最安値をうたいつつも、いつまでも料金を下げ続ければいいとは考えていません。品質を劣化させたくないと強く思っているからです。今よりも安くして通信品質を維持できるかというと、厳しいでしょう。品質を維持できないと、結局お客さまが損をします。“安かろう悪かろう”というイメージができると、業界全体にとってマイナスになります。ですので、ある程度のプライスリーダーになりつつ、(料金を)下げ続ける流れを止めたかったというのが本音です」(野村氏)

 業界最安にこだわらなくなったからとはいえ、例えばデータSIMプランでは月590円で1GB、月1860円で7GB、通話SIMプランでは月1260円で1GB、月2560円で7GBで利用でき、大手キャリアと比べてもはるかに安い。またプランの種類もシングルコースで全20、シェアコースで全16と豊富だ。「もともと大手キャリアが2GB、5GB、7GBのプランを出していたので、まずはライトユーザー向けのプランを押さえました。さらに大容量プランも入れ、豊富なメニューを用意すれば、より多くのお客さまを(大手キャリアから)取れるのではないかと考えました」(野村氏)

DMM mobile DMM mobileの料金プラン(シングルコース)。LTEの高速通信は月590円(1GB)からと格安だ

 最も人気の高いのは1GBプランだという。「2台目として使っている人と、移動中に少し通信できればいいという人が多いのだと思います」と野村氏。一方、15GBや20GBのプランは、価格を高く設定しているが、これは自宅でWi-Fiルーター代わりに使うことを想定したため。その15GBや20GBもの大容量プランを提供するのなら、使い放題のプランも期待したいところだが、野村氏は「使い放題は絶対にやりません」と言い切る。その理由は「通信品質が悪くなるから」とシンプルだ。

 MVNOは、大手キャリア(DMMの場合はNTTドコモ)から通信用の帯域幅を借りることで、サービスを成り立たせている。しかしMVNOが保有する帯域幅に対して、そのキャパシティーを超える通信が起きると、1ユーザーあたりの実効速度は下がってしまう。無制限プランを提供すると、必ず見境なしに通信し続けるユーザーが現れ、その他の良識的なユーザーに迷惑を掛けてしまう……というのが野村氏の考えだ。

 MVNE(インフラやシステム面でMVNOの支援を行う事業者)にIIJ(インターネットイニシアティブ)を選んだのも、同社の通信品質に定評があり、信頼できると判断したからだ。MVNEの支援を受けているMVNOの中には、MVNEを変更するところもあるが、DMMはDMM mobileを開始したときから一貫してIIJとパートナーシップを結んでいる。また、MVNEを変更すると、変更前のプランから変更後のプランに変更ができなくなる(一度解約をする必要がある)というデメリットもある。こうした方針からも、安さだけでなく品質や使い勝手を重視していることが分かる。

リアル店舗がなくても十分なサービスを提供できる

 おうちで乗り換えのおかげで、オンラインによるデメリットの1つが解消されたとはいえ、リアル店舗があれば、もっと便利になるはずだ。野村氏は「リアル店舗を検討したことはあります。幾つか調査をして、めぼしい物件もありました」と話すが、現在はその計画はやめたという。冒頭の広告費を抑えた件と理由は同じで、店舗を持つことで運営費がかかり、その影響でDMM mobileの通信料金が上がってしまっては意味がないからだ。サービス形態を極限までスリムにすることで、格安の料金を維持しているというわけだ。

 だからといって、サポートをないがしろにしているわけではない。DMM mobileでは契約者と契約前のユーザーで別々のサポート窓口(電話番号)を用意しており、365日相談ができる。さらに、チャットでの相談窓口も用意しており、利用者は「とても多い」(野村氏)そうだ。「契約前のお問い合わせは、特に初心者の方が多く、一から説明をします」(野村氏)とのことで、初歩的な質問にも丁寧に対応していく。新生活を前に、格安SIMを初めて導入する予定の人も多いだろうが、分からないことや悩んでいることがあったら、まずは電話やチャットで相談してみるといいだろう。

DMM mobile 契約前と契約後で問い合わせの電話番号を分けているほか、フォームやチャットでの問い合わせも可能。店舗がない分、遠隔でのサポートには万全を期している

 また、オンラインのもう1つのデメリットである「到着までに時間がかかること」も、物流のスピード早めることでカバーしている。「SIMカードにデータを書き込む作業を早めたことで、注文が入ってから到着までに、これまで5日掛かっていたものが、最速で2日に短縮できるようになりました」と野村氏は説明する。お店に出向く手間を考えると、自宅で購入できるオンラインの方が負担は少ないし、最短で2日で届くのであれば、不便さを感じることも少ないのではないだろうか。

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提供:株式会社DMM.com
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2016年3月31日