「Simeji」が2000万ダウンロード達成 Android版をリニューアルした理由とは?

日本語文字入力システム「Simeji」が累計2000万ダウンロードを達成。同時にAndroid版の大幅リニューアルを行った。その道のりとリニューアルの狙いを「生みの親」に聞いた。

» 2016年03月23日 10時00分 公開
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 スマートフォン向けの日本語文字入力アプリ「Simeji」が、Android版とiOS版を合わせて累計2000万ダウンロードを達成。同時にAndroid版の大幅リニューアルを行った。

 実用系ツールが成し遂げた快挙に至る道のりと、今回のリニューアルの狙いについて、Simejiの生みの親の1人であり、バイドゥでモバイルプロダクト事業部マネージャーを勤める矢野りん氏に話をうかがった。

iPhone版が急速に成長

 Simejiは、2008年にエンジニアの足立昌彦氏とデザイナーの矢野氏がAndroidスマートフォン向けに開発した純国産アプリだ。日本語入力アプリの定番として支持されていた中、2011年12月にバイドゥが買収。クラウドを使った予測変換機能や、多彩な顔文字や絵文字で若年層を中心に人気が拡大し、2014年9月にはiOS版もリリースした。

 このiOS版が、iPhoneのシェア拡大と比例するように順調にダウンロード数を伸ばし、3月中旬現在でAndroid版が1310万ダウンロード、iOS版が690万ダウンロードに到達している。

Simejiが2000万ダウンロード突破 「Simeji」の2000万ダウンロード推移

 Android版とiOS版は、別のアプリと思えるほどユーザーインタフェース(UI)が異なっていたが、サービス内容自体は基本的に同じで、機能的な差はほとんどない。ただ、iOSは端末の種類やOSのバージョンがAndroidと比べて少なく、また表示できる文字セットが多く安定している。そのためiOS版のSimejiは文字化けして四角い表示が出る「豆腐」率が低く、顔文字の種類も多い点がメリットだ。

 また、サービス歴が長く、幅広いユーザーが使うAndroid版と比べると、開始1年半のiOS版ユーザーは若い女性が多く、Simejiをおもちゃのように面白がるノリが強いと矢野氏は説明する。話題になったアニメや時事ネタに関連する言葉を変換候補に取り入れると、iOS版ユーザーのほうが敏感に反応するそうだ。

UIをiPhone版に近づけるリニューアル

 そして今回、「満を持して」Android版のUIをiPhone版に寄せる大幅なリニューアルを行った。歴史が長く、使い慣れている人も多いAndroid版ではなく、新しいiPhone版に合わせた狙いは何だろうか。

Simejiが2000万ダウンロード突破 バイドゥ モバイルプロダクト事業部 マネージャー 矢野りん氏

「スマートフォンを使う人が増えて、子どもやさほどデジモノ趣味じゃない方にもSimejiを使ってもらうことを考慮した際、簡単そうに見えることが重要になったと認識しました。iOS版はもともとシンプルな設計を心掛けて作ってきたので、Android版もそこに合わせようという考えです」(矢野氏)

 大きく変わったのがSimejiキーの位置だ。従来のAndroid版は、キーボード内にSimejiのアイコンがあり、そこから各種機能にアクセスできた。最新版は、Simejiアイコンがキーボー上部のコントロールパネルに移動し、キーボード内には「記号」キーを配置。アクセス頻度の高いものをキーボード内に配置して標準的なキーボードデザインを実現することで、Simejiを使ったことがない人でも、違和感なく使えるようにした。「Simejiの個性を薄めるので、開発チーム的には寂しい話」(矢野氏)だが、ベーシックな使い勝手を重視した。

Simejiが2000万ダウンロード突破 新旧「Simeji」のコントロールパネル。従来はキーボード内にSimejiアイコンがあったが、最新バージョンではキーボード上部のコントロールパネルに移動。ここから各種設定画面にアクセスする

 この変更は、新規ユーザーには好評だという。「(バージョンアップ後の)継続利用率が以前よりも非常によく、15%くらい上がった」(矢野氏)一方で、継続ユーザーからは戸惑いの声も多く、公開直後はGoogle Playのコメント欄にはさまざまな声が寄せられた。

 もっとも多かったコメントが、別のアプリとSimejiを連携させる「マッシュルーム」をどこから起動すればいいのか分からないというもの。実は「あ/A」キーの長押しでメニューが出るのだが、「キーに何かヒントを入れる必要があったが、ノーヒントだった」(矢野氏)。現在は様子をみながら修正をかけているという。

Simejiが2000万ダウンロード突破 「あ/A」キーの長押しで「マッシュルームを起動」のメニューが出る
Simejiが2000万ダウンロード突破 QWERTYキーボードの配列も標準的なならびに変更。また、スペースキーを長押しして左右にドラッグすることで、カーソル移動が可能になった
Simejiが2000万ダウンロード突破 変換候補もiOS版と同じ1行表示に。設定で2行に戻せる

 また変換候補表示もiOS版と同じ1行表示にし、クラウド超変換の最新ワードが右上から表示されるようになった。ただし、設定から従来の2行表示に戻すこともできる。

 iOS版とAndroid版のUIを統一することは、開発側にも「運用方針も設計も1つになって開発しやすくなる」(矢野氏)というメリットがある。「そろえる必要がある部分はたくさんある」とし、今後も少しずつ統一を進めていく考えだ。

2000万DLを達成して変わったこと、変わらないこと

 ゲームやSNS系アプリをのぞくと、異例ともいえる2000万ダウンロードを達成したSimeji。ユーザーが増えたことで、ニーズを探る作業が増え、たくさんの人を楽しませたいという思いから議論を重ねる日々だという。

 また開発・運営チームの規模も大きくなり、当初20人程度だったメンバーが2倍に増えた。運用に多くのリソースを割く必要になり、「ますます稼がなくてはいけなくなった……」と矢野氏は苦笑する。

 マネタイズのために広告を入れるが、広告が増えれば使いにくいという声も増える。表示回数を減らしたり、スキップできるようにしたりなど、ユーザーの反応を見ながら、広告担当者とともに微調整を繰り返している。

 「ユーザーの声に聞き耳を立てて、最適化に努めています。ビジネスとしてどう見るかもありますが、ユーザーがいらないものは市場にも必要ないもの。それを肝に銘じて運用しているつもりです」(矢野氏)

 ユーザーが増えるということは、サポートする機種やOSが増えることも意味する。Androidなら格安スマホ、iOSならiPod touchユーザーがいて、端末の処理速度が遅かったり、OSアップデートがされていなかったりもする。端末メーカーは新しいモデルと最新OSを主体にサービスを提供するスタイルを取るところが多いが、「サードパーティーもそのスタイルで行くのか? という話については、現場でも議論が分かれます。しかし、ずっと使ってくださっているユーザー側に立って考えると、さまざまな機種で快適に使えて当然。ユーザーが増えれば増えるほど、ハードルは高くなっていきます」(矢野氏)。

 その一方で、うれしいこともあった。

 「ウチの小学生の子どもが、たまたま家にあったSimejiのノベルティのパーカーを学校に着て行ったら、クラスの友達に『Simejiじゃん』といわれたそうなんです。これが2000万かと実感しました。『ママってすごいんだね』と喜んでいて、親の威厳も示せたと思います(笑)」

 しかし、開発チームの毎日に大きな変化はない。「正直、ダウンロード数を気にしている暇がありません。細かいバグ調整と改善を考える毎日です。しかも、ウチの社長の『おごり高ぶるな』という意向もあって、2000万ダウンロードは社内でサラッと流されました」(矢野氏)

 マイペースで進化を続けるSimejiの今後の展開に期待したい。

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提供:バイドゥ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2016年3月29日

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