DDIポケット,秋には“定額制”128Kbpsパケット通信導入

AirH"の仕組みを応用して,DDIポケットはモバイル環境の通信速度の高速化を図る。128Kbpsのデータ通信サービスも定額制で提供される見込みだ。

【国内記事】 2001年5月21日更新

 DDIポケットは5月21日,「AirH"」と今後のデータ通信のロードマップについて説明会を開催した。DDIポケットは,PHSを使った定額制データ通信サービスAirH"を6月1日から開始し,さらにこの秋には128Kbpsのパケット通信を導入する予定だ。

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DDIポケットのデータ系サービスのロードマップ

無線の制御チャンネルにパケットを

 DDIポケットは,パケット通信を導入するにあたり,なんら新しいインフラを構築したわけではない。既存のPHSの基地局と網を利用して,空いている部分にパケット通信網を構築した。

 PHSと基地局を結ぶ無線部分は,基地局1つ当たり32Kbpsのチャンネルが3つと,制御用の32Kbpsのチャンネルの計4つがある。そのため基地局1つにつき,音声通話と32Kbpsのデータ通信なら合計3つまで,64Kbpsのデータ通信なら1つ,回線を開くことができた。

 こんな現状でDDIポケットが目をつけたのが,制御用のチャンネルだ。「無線用の制御チャンネルが実際に使っている容量は20分の1程度」(DDIポケットの近義起技術企画部長)。この空いている30Kbps程度の部分にパケットを流すようにしたのだ。

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 このような仕組みにより,インフラ投資を増大させることなく,「現在,DDIポケットの電波が届いている地域なら,パケットによるデータ通信が可能」(近氏)というサービスエリアが提供できたわけだ。

 現在,DDIポケットのサービスエリアは人口比で90%以上を実現しており,CATVやNTTの「フレッツサービス」が提供されていないエリアでも常時接続が可能になっている。

AirH"の方式で,128Kbpsに展開

 まず開始されるのは32Kbpsでのパケット通信だが,この方式を応用して,秋には128Kbpsのパケット通信も導入される予定だ。

 128Kbpsは,1つの端末から4つの基地局に同時アクセスすることで実現される。基地局1つ当たり32Kbpsの方式を4つ合わせることで,128Kbpsを目指す。

 「128Kbpsについても開発を進めている。端末も32Kbps×4つのスロットが使えるようになっている。1つの端末が複数の基地局にアクセスできるようになっている」(近氏)

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 現在でも,端末からアクセス可能な基地局は多い。「窓際では住宅地でも20くらいの基地局が端末から見える。オフィス街では30以上」(近氏)。複数の基地局にアクセスすることで,理論的には10個以上の基地局の電波を利用することもできるという。

 さらに,DDIポケットの販売促進部長である土橋匡取締役は「128Kbpsでも定額制を考えている」という。しかも,複数の基地局を利用するパケット通信であるため「実効速度を保証できないため,(32KbpsのAirH"と)同程度の価格体系になる可能性が高い」(近氏)と,料金面の見通しを語る。

 もちろん複数の基地局を利用することで,移動時のハンドオーバー(アクセスする基地局の切り替え)は難しく,スループットが落ちる可能性もある。また複数の基地局にアクセスするためには,当然専用の端末にならざるを得ない。

 しかし,既存のインフラに大きな変更を加えることなく,高速な通信速度を実現できる点は大きい。

定額制のためのパケット通信

 そもそも,DDIポケットが定額制データ通信サービスAirH"を開始できたのは,いくつかの技術的なポイントがあった。

 “パケット通信”というと,iモードと混乱するユーザーもいるかもしれないが,DDIポケットがパケット通信をサポートしたのは,“周波数とインフラの有効利用のため”というのが理由だ。

 近氏によると,「PCを使ったインターネットの月平均転送データ量は30Mバイト強」だという。回線交換を使う音声通話の場合,1カ月あたりデータ量にして約43Mバイトが転送される。

 回線をパケット化し,データ転送量でインフラの利用効率を考えると,「(データ転送量が)月30Mバイトくらいならば,(定額制にしても)ビジネスモデルは変わらない」(近氏)

 それどころか,「逆に,音声は43Mバイト使用するので,データ通信のほうが(インフラから見れば)ライトユーザー」(近氏)だという。

AirH"の注意点は?

 魅力的なAirH"だが,いくつかの点には注意しておく必要がある。まず,“32Kbpsパケット通信”という謳い文句だが,実行速度はそれほど出ないということだ。

 32Kbpsの制御チャンネルの余りの部分を利用するため,近氏によると「下りはできるだけ30Kbpsを目指す」速度であり,「上り下りでフレームフォーマットを変えているため,上りは60%くらいのスループット」だという。さらに,複数のユーザーが回線を共用することも忘れてはいけない。

 「現状,利用できるブラウザフォンの予定はない」(土橋取締役)というのも,現在H"端末を音声通話に利用しているユーザーにとっては残念なところだ。

 また,セイコーインスツルメンツ製の「AirH"Card」(5月16日の記事参照)のほかに,TDKもAirH"向けのコンパクトフラッシュ端末を予定している(5月17日の記事参照)など,新しい端末が次々登場しているが,見方によっては新サービスの開始のたびに新しい端末が登場するということでもある。

 AirH"のサービスが発表される直前には,待望されたコンパクトフラッシュカード型の64Kbps通信端末「C@rdH" 64 petit CFE-01」(AirH"非対応)が発売されている。AirH"が魅力的なサービスだけに,端末を購入したユーザーは複雑な心境であろう。

[斎藤健二,ITmedia]

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