Mobile IPv6でIP携帯電話が実現する?

ノキアはNETWORLD+INTEROPにて,Mobile IPv6を使ったIPのハンドオーバーのデモを行っている。

【国内記事】 2001年6月6日更新

 ネットワーク関連の総合イベント「NETWORLD+INTEROP 2001 TOKYO」の展示会が6月6日,千葉・幕張メッセで開幕した。ノキア・ジャパンは「Mobile IPv6」を利用して,異なるネットワークにローミングした場合でもIPアドレスが維持されるデモを行った。

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 Mobile IPは,どのネットワークに接続されていても,あたかも自分のオフィスのネットワークに接続されているかのように機器を利用できる技術だ。

 現状,会社のLANにつながっているノートPCにはDHCPを通じてIPアドレスが割り振られていることが多い。しかし,外にノートPCを持ち出してダイヤルアップすれば,再びISPから異なるIPアドレスが振られることになる。

 IPv6の特徴の1つは,“アドレス空間が広がり,家電や携帯電話1つひとつにIPアドレスが振れるようになる”ことだ。各機器にIPアドレスが振られた場合,異なるネットワークに接続するたびにIPアドレスが変化したら不便この上ない。

 「異なるネットワークに接続した場合でも,同じIPアドレスが振り当てられる」(ノキア・ジャパンのマーケティングサービスマネージャーである長田新子氏)ような仕組みを持っているのがMobile IPだという。

Mobile IPv6を利用して切れ目なく動画配信

 デモンストレーションは,無線LANを利用してネットワークに接続された2台のPCで行われた。バックボーンのネットワークはMobile IPv6で構成されており,複数のドメインを持っているという。

 バックボーンからPCにストリーミング動画が配信されている状態で,PCの接続先を別のドメインに切り替える。通常ならばIPアドレスが再割り当てされ動画の配信が遅延するが,Mobile IPv6を導入したこの環境では瞬間的に動きがギクシャクするものの,動画再生が継続される。ドメインが変化しても同じIPアドレスが割り振られるという,IPのハンドオーバーが実現されている。

IPフォンの未来はMobile IPv6に?

 Nokiaは,携帯電話のバックボーンインフラをAll IP化した製品を2002年を目処に商品化する予定。当面はますます増大するIPトラフィックの処理を効率化するのが目的だが,携帯電話1つひとつにIPを割り振りVoIPを利用したIP携帯電話の実現も念頭にあるという。

 しかしIP携帯電話を携帯電話ネットワークに接続するだけなら,Mobile IPを利用しなくてもIPアドレスは一定のままだ。ではMobile IPは何に利用するのか?

 「IP(携帯電話)であることを考えると,屋外では携帯電話網に接続し,オフィスでは無線LANに,家庭では光ファイバーにつなげるなど,さまざまなネットワークにつなげても同じIPを利用できる」とNokiaの説明員はMobile IPのメリットを語る。

 最近,無線LAN(IEEE802.11b)を利用した電話機,なるものが一部で登場してきている(3月28日の記事参照)。現在はトランシーバのようにしか利用できないが,Mobile IPv6が普及すれば,“無線LANの電波が届くところならどこでも利用できるIP携帯電話”というものも実現するのかもしれない。

[斎藤健二,ITmedia]

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