表面化する無線LAN“802.11b”の問題

急速に普及する802.11b準拠の無線LANだが,オフィスなどで利用する際の問題点がしだいに明らかになってきた。5GHz帯を利用する802.11aも見えてきたが,それも一筋縄ではいかないようで……。

【国内記事】 2001年7月25日更新

 低価格なこともあり,国内で急速に普及した無線LAN。現在の無線LANは多くが「IEEE802.11b」という規格に基づいたもので,最大11Mbpsのデータ転送速度を実現する。しかし,802.11bが抱えるいくつかの問題を解決すべく,次の規格が出番を待っている。

 IEEE802.11bと802.11aの両方をサポートするアクセスポイント「RoamAbout R2」を販売するエンテラシス・ネットワークスは,「次世代無線LANソリューション・セミナー」と題して講演を行った。

Photo
エンテラシス・ネットワークスマーケティングのマーケティング本部,プロダクトマーケティングマネージャーである小林鉄夫氏

802.11bが抱える問題点

 安価で簡単な無線LAN構築デバイスとして広まった,IEEE802.11b準拠の無線LANだが,こと個人用を除けば,現状でもかなり多くの問題を抱えている。

 小林氏が802.11bの問題点として挙げるのは,「混信」「パフォーマンス」「セキュリティ」の3つだ。

 802.11bではISMバンドと呼ばれる2.4GHz帯を使って通信を行う。免許不要の2.4GHz帯では,無線LANのほかに電子レンジ(2450MHz)やBluetooth(2400〜2497MHz),アマチュア無線(2400〜2450MHz)などが利用しており,まさに電波のるつぼ。

 特に問題となるのがBlutoothだ。直接拡散方式(DSSS)を用いる802.11bに対し,周波数ホッピング方式(FHSS)(用語)を用いるBluetoothは相互に干渉する。ただし,いくつかの調査ではBluetoothが802.11bに与える影響のほうが大きいという結果が出ており,Bluetoothが普及した場合,802.11bは大きく干渉を受ける可能性がある。

 また,11Mbpsというパフォーマンスも将来的に見ると不足している。「体感的にはスループットは4〜5Mbps程度」(小林氏)

 802.11bのチャネル割り当てでは,同1セルには最大3台までしか置けない。ロードバランスのために1カ所に3台のアクセスポイントを置くと,今度はローミングができなくなる。「パフォーマンスを取るか,ローミングを取るか。これは(802.11bの)根本にある問題だ」(小林氏)

Photo

 さらにQoSの欠如,UCBが指摘した802.11bのセキュリティプロトコルWEP(Wired Equivalency Privacy)の脆弱性も問題点である。

期待が募る802.11a

 これらの問題を解決できるのではないかと期待されているのが,5GHz帯を用いたIEEE802.11a。利用する周波数帯が異なるため混信が少なく,データ転送速度は802.11bの5倍となる最大54Mbps。さらに変調方式も,802.11bの直接拡散方式よりもマルチパス特性(物体で反射した電波同士の干渉)に優れた直行周波数分割多重(OFDM)方式を用いる。

 802.11aは規格策定も終わり,機器の登場が待たれているが,実現にはまだ課題も多い。

 1つは802.11aが利用する5GHz帯が,日本では屋内の利用に限られていることだ。日本での5GHz帯の割り当ては以下の通り。

5.15〜5.25GHz 電気通信業務用および公共業務用固定衛星,特定小電力データ通信(屋内での使用に限る)
5.25〜5.35GHz 地球探査衛星,気象レーダー
5.8GHz 高速道路のETC

 そのため802.11a登場後も,ビル間通信などでは2.4GHz帯の802.11bを利用せざるを得ない。また,「周波数帯が上がるにつれて回路の効率が悪くなるため,(2.4GHz帯に比べて)消費電力は50%増し程度になる」(小林氏)という。

 さらに,製品がなかなか登場しない理由には,米国と欧州の規格戦争という一面もある。5GHz帯を使った無線LAN方式には,現在米国のIEEEが定めた802.11aと,欧州のETSIが定めたHyperLAN2の2方式がある。

 HyperLAN2には,802.11aが備えていない混信のないチャネルを自動的に選択する機能「Dynamic Channel Selection」や,送信出力を必要最小限まで自動的に絞る「Trasmit Power Control」機能が搭載されている。

 IEEEでもこれらの機能をIEEE802.11hとして策定中。小林氏は「802.11a+802.11h=HyperLAN2と考えていい」と説明する。機器メーカーも無線チップメーカーも単なる802.11aではなく802.11hにも対応したほうが市場拡大,コスト低減につながると考えているようだ。

 802.11h仕様の追加により,802.11a対応機器の価格はチップレベルで2〜3割増。製品価格は500ドル前後と見られており,エンテレシスでは5万円を目標としているという。しばらくの間は2.4GHz帯を使う無線LANより高価であり,屋外で利用できないなどの面もあって,2.4GHzと5GHzの混在環境が必須となりそうだ。

[斎藤健二,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



Special

おすすめPC情報テキスト

モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!