携帯上に人の表情を再現──アイマティック,iアプリ版も

“テレビ電話には広帯域が必須?”。いやいや。アイマティックジャパンはカメラで捉えた表情を,リアルタイムにCGで再現する技術を研究している。iアプリ版のデモを見ることもできた。

【国内記事】 2001年9月26日更新

 インテル・デベロッパ・フォーラムの技術セッションでは,携帯電話プラットフォーム向けソフトウェアソリューションとして,インテルがワイヤレス・コンピテンス・センターで協業している企業の技術が紹介された。

 そのうちの1社,アイマティックジャパンは昨年11月,オムロンが米Eyematicと合弁で設立した会社。顔の表情をリアルタイムに3D CGで再現する技術を研究している。

帯域2.5Kbpsで表情を伝達

 アイマティックジャパンの技術を使えば,遠くの相手に表情をリアルタイムに伝えることができる。しかも必要な通信速度はわずか2.5Kbps。現在のiモードの通信速度9.6Kbpsでも余裕がある。

 この技術のポイントは顔画像認識技術にある。まずIVVA(Interactive Virtual Video & Animation)と呼ばれる技術を用いて,カメラで撮影した映像から表情のデータを取り出す。特に顔にセンサーをつける必要もなく「(撮影した)絵を解析して,どこが人の顔なのかを認識し,顔の各パーツを認識する」(インテル通信技術本部の幸村裕子氏)のが特徴だ。

 データ形式はMPEG-4の知的符号化の1種であるSNHC(Synthetic Natural Hybrid Coding)を用いている。

 この表情のトラッキングデータを送信し,受け取った側では表情を再構成して画面に表示する。表情のデータはたいへん小さなデータサイズで,30フレーム/秒時で2.5Kbpsにすぎないという。アイマティックジャパンでは「MPEG-4の100分の1のデータレートで動画再生可能」と謳っている。

 下のiPAQによるデモでは,いかにも“アニメ”といった画像だが,「最初に顔の画像データを送っておけば,あとはその画像が動く」(インテル・幸村氏)という。

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iPAQによる再生のデモ。3D CGでできており,左右80度ほど回転させることもできる

携帯電話でも動作

 表情のデータを再生するプレーヤーも同社の技術が詰まっている。2D/3Dのエンジン付きの「FACE PLAYER」は,「携帯にも使えるよう消費電力とのバランスを取った」(インテル・幸村氏)という。

 既に音声との同期を取ったり,Webアプリケーションとの連携も実現している。

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開発中のiアプリ版FACE PLAYER。メモリサイズの問題から3Dではなく2Dで表示されている

 また携帯電話上でもJavaを使ったバージョンが動作している。NTTドコモのiアプリ端末「F503i」上で,見事に表情が再現されていた。

 IVVAを使った表情のトラッキングのほうは「最適化していない状況ではPentium III/500MHz程度の処理スピードが必要」(アイマティックジャパンの一ノ瀬克彦副社長)なため,カメラ付き携帯電話上で動作させる……といったことは現状難しいようだ。

 しかし携帯電話を使ってのCRMや簡易なテレビ電話としては応用に期待がふくらむ。アイマティックジャパンによると「単一の商品としても,組み込み向けとしても商品化を考えている」という。

[斎藤健二,ITmedia]

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