FOMAの今後の課題はこれだ

10月からついにサービスを開始する次世代携帯電話,FOMA。その課題は,大きく3つ挙げることができる。

【国内記事】 2001年9月27日更新

 都内で開催された,次世代携帯電話を中心に市場を探る研究会「IMT2000コミュニケーション研究会」でシーティーエルの松島秀行取締役が講演を行い,FOMAの今後の課題について触れた。

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 同氏が講演でFOMAの課題として挙げたのは,「通話料金の高さ」「バッテリの持ち」「ストレージ」の3点だ。以下,順に見てみよう。

 まず通話料金の高さについて。先日FOMAの料金体系が発表されたが(9月3日の記事参照),松島取締役は「9600bpsの通信と異なり,高速なデータ通信を行うとやはりパケット代がかさむ可能性がある」と指摘した。

 たとえば月額8000円の「パケットパック80」を利用した場合,通信料はiモードの15分の1である0.02円/パケットとなる。しかしそれでも,384Kbpsの通信では,1分間で最大450円かかってしまう計算だ。ちなみにPHSなら64Kbpsの通信速度で1分15円となる。

 2つめは,バッテリの持ち。試験端末のビジュアルフォン「P2101V」では待受け時間が30時間。本サービスの端末でも55時間だ。通話をしたりコンテンツを見たりすれば,一日の間さえ電池が持たない可能性は高い。「動画を見ていれば数時間しか持たない。コンテンツのリッチ度が上がれば上がるほど,バッテリはもたない」(松島取締役)

 「まさか予備のバッテリを持って歩くわけにも行かないだろう。携帯電話に燃料電池を入れようという話もあるが,まだまだ夢」(松島取締役)という。

 課題の3つめは,ストレージの問題。携帯端末に入るデータは容量に限りがある。今後ドコモ音楽配信サービス「M-stage music」のように大容量のデータをダウンロードするような機会が増えるとすると,なんらかのストレージを付け加える必要が出てくる。

 「ストレージを付け加えるとしても,現在の32Mバイト,64Mバイト入るフラッシュロムのチップだと5000円,1万円する。ユーザーにこれらを端末に上乗せして買えというのは苦しいだろう」(松島取締役)

解決策は……?

 このように聞いているとFOMAの未来は絶望かとも思えてくるが,何か解決策はないのだろうか。松島取締役が話すところでは,ストレージに関してはどうやら対策らしきものもあるようだ。

 松島取締役は「(コンテンツなどをダウンロードする際に)インターネットデータセンターで,自分の借りている“私書箱”のような場所に落として,貯める仕組みにすればいい」と語る。ユーザーのデータをWeb上で保存して,使いたいときだけ自由にアクセスできるようにすれば,端末側にダウンロードする必要はないというわけだ。このような一種の「倉庫」サービスを提供してくれる企業があれば,データにアクセスするたび通信料がかかると言う問題はあるものの,端末容量の縛りからは開放される。

 もう1つの解決策は安価なCMOSチップを使う,というもの。「32M,64Mバイトのフラッシュロムではなく,読み出し速度も遅く,値段も安価なCMOSチップを使えばいい。これならデータをインストールしたストレージが1000円ぐらいで販売できる。たとえば音楽をあらかじめインストールしておいて販売し,携帯端末に差し込んで使うということも考えられる」(松島取締役)

 ちなみにここでいうCMOSチップとは「より原始的なチップ」というほどの意味合いで使っており,特に具体的な製品を念頭において話したわけではないという。

 とはいえ松島取締役は残る2点に関しては「小さなコンテンツをこまぎれに」して,なるべくリッチなコンテンツは控える,と述べるに留めた。FOMAの大容量コンテンツを利用する上でユーザーの頭を悩ませそうなこれらの課題。これらが解決した時こそ,真の「第3世代」はやってくるのかもしれない。

[杉浦正武,ITmedia]

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