携帯サイトの会員を増やすには?──オリコンの挑戦

携帯コンテンツの会員数を増やすには,「週間iガイド」に代表される広告が有効だといわれている。しかしオリコンは「ユーザーが飽きてきたのではないか」と,マスメディアを利用した別の道を探る。

【国内記事】 2001年10月29日更新

 インターネット広告推進協議会(JIAA)モバイル広告部会主催の「JIAAモバイルマーケティングフォーラム」が10月29日,都内で開催され,オリコン・エンタテインメントの小池恒社長が講演した。

 オリコン・エンタテインメントはiモード,J-sky,EZweb,feel H"などのプラットフォームで総合音楽サイト「oricon hitnext」を運営している。メインのコンテンツは着メロ配信だ。既に合計で120万人以上の会員を有し,平均ダウンロード曲数は3.2曲,1カ月当たりの平均単価は約132円。

 カラオケ事業者や一般の着メロサイトなどとは違い,作詞・作曲に対する著作権料のほかにレコード会社やアーティストにも著作権料を払っているのが特徴だ。長年ヒットチャートを運営してきた関係もあり,「(カラオケ事業者などと異なり)レコード会社といい関係を築けている」ことを小池社長は強調する。

 「作詞・作曲に関してJASRACに料金を払えば,誰でもカラオケや着メロビジネスを行えるが,(カラオケや着メロで曲がヒットするのは)レコード会社やアーティストの力が大きい」(小池社長)

 このような施策は,着メロの海外展開なども視野に入れてのこと。国内と異なり,海外で着メロを提供するには,JASRAC使用料の支払いだけではなくレコード会社との契約が必要になるのだという。

 「(音楽配信ビジネスの)次世代を睨むと,レコードメーカーがカラオケメーカーと組むのは,心情的,権利への考え方などで合わない。実際,J-POPを海外で提供できているのは当社だけ」(小池社長)

バナー広告はユーザーも飽きてきた?

 講演の中心は“どのようにしてサイトの会員を増やしていくか”。小池社長はこれまでの試行錯誤を,具体的な数字を交えて解説した。

 「(NTTドコモ自体が運営する)「週間iガイド」は,(広告を)出稿すると最初はすごく(会員増加数が)伸びた」

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2001年3月の「oricon hitnext」会員増加数の推移。「今週のお知らせ」(現,週間iガイド)に広告を出稿すると,会員増加数が3倍以上に跳ね上がるのが見て取れる

 しかし短期間で状況は変化してきた。「昔は週間iガイドにバナー広告を打てば簡単に(会員が)伸びたが,最近は違う。ユーザーが飽きてきたのではないか」(小池社長)

 次の施策はマスメディアの利用だ。「oricon hitnext」ではマスメディアとのタイアップを積極的に利用し,最近ではインド人がカバディを行うコミカルなテレビCMも打っている。

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 小池社長が強調するのは“ブランディング”だ。現在各キャリアのポータルサイトは会員数の多い順に並べられており,下位のサイトが這い上がるチャンスは少ない。この理由を「ユーザーは自分がどのサイトに登録しているか覚えていない。単に上位に並んでいたサイトに登録している」と小池社長は分析する。ブランディングを行うことで,ユーザーが「oricon hitnext」をメニューから見つけ出して登録してくれることを狙う。

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実際のテレビCMの効果を表したグラフ。横軸は1日の時間の流れを示す。黄色の部分がテレビCMが流れた時間帯,縦軸はトラフィック量。ニュース番組はともかく,バラエティ番組でのテレビCMは確実にトラフィックを増やす効果を生んだ

 現在のところ「テレビCMの費用は回収できていない」(小池社長)というが,効果の高さは証明できた形だ。同社ではテレビ番組とのタイアップも積極的に行い,マスメディアを利用して会員数を増やす戦略を進めていくという。

[斎藤健二,ITmedia]

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