「悪いのはドコモだ!」――出会い系サイト弁護士の論理

メール送信停止の仮処分を受けた有限会社グローバルネットワークの担当弁護士は,「処分は不当」と言い切る。同氏はこの件について,ドコモの責任を次々と指摘した。

【国内記事】 2001年10月30日更新

 横浜地裁は10月29日,NTTドコモの仮処分申請を受けて,横浜市内の「出会い系」メール配信業者であるグローバルネットワークに対し,送信の差し止めを求める仮処分を命令した(10月30日の記事参照)。

 訴えによるとグローバルネットワークは,ユーザーに対して時に1日120万通ものメールを送信。NTTドコモのサーバに負荷をかけたとして,ドコモから警告書を送付されると共に,7月からはサーバへのアクセスを拒否されていた。

 この件に関して現在,NTTドコモ側からのコメントが多く報道されているが,グローバルネットワークの主張するところはどうなのだろうか。同社の担当弁護士に,話を聞いた。

グローバルネットワークはドコモにとって「優等生」?

 グローバルネットワーク側の弁護士を務めるのは,第一東京弁護士会に所属する塩谷安男氏だ。同氏は本誌の取材に対し,ドコモ側の訴えを認めたかたちの判断について「処分は不当」と断じた。

 グローバルネットワークでは,不特定多数のユーザーに対して出会い系サイトに関するメールを送信したことは否定しない。ただし,それを停止するという処分に対しては真っ向から異議を唱えるというスタンスのようだ。

 「(不当だという)理由はいくつかある。まず1つは,すでにグローバルネットワークは7月にNTTドコモからアクセスを拒否されて以来,業務を停止しているということ。業務を行っていない会社に対してこうした(多数のメール送信を禁ずる)仮処分をしても,実効性がない。2つ目は,ドコモのサーバ側の損害に対して,個別の会社をつかまえて責任をとれというのはどうかということ。責任は何も,グローバルネットワークだけに追求されるものではない」

 塩谷氏は続けて,「そもそもドコモのシステムが問題だ」と語気を荒げる。

 「(ドコモのメールシステムは)PCからメールを一斉送信すればタダで,受信が有料。これは,大量メールを送らせるためのシステムと考えてもおかしくない。以前,郵便ポストにダイレクトメールがあまりに多く送られるというので問題になったことがあったが,その時でさえ送付には,郵便料金がかかっていた。携帯ではその料金がタダだというのだから,やるに決まっている」

 「実際,NTTドコモは大量のメールを業者に送信してもらうことで,巨額の利益を得ている。そういう意味ではグローバルネットワークは“優等生”だったわけだ。そうやって予想通り利益を得ておいて,世間の逆風を感じたらとたんにメール送信事業者側に責任を持っていくのはおかしい」

 同氏は,発信側が有料で受信側が無料なようにでもシステムを変えない限り,こうした事業者はなくならないと主張する。「iモード自体が電気チラシ。出会い系メールは倫理に反すると言うが,既に一般の商品の販売もメール経由で行われている」。事業者がメールを送信すること自体は自然なこととの立場だ。

 ドコモはこれまでに,さまざまな迷惑メール対策を講じている(7月2日の記事参照)。こうした努力にも関わらず,迷惑メールは今も存在しているし,今回の仮処分後も全くなくなることはないものと予想される(10月30日の記事参照)。

 塩谷弁護士の語るように,せめて企業が送信する際だけでも送信者負担にできないか,ドコモ側で仕組みを考えないと迷惑メールはなくならないのだろうか。塩谷弁護士は「(発信者が有料になるようにシステムを変えることは)技術的には可能なのだから」と,あくまでドコモの非を糾弾する姿勢を見せている。

[杉浦正武,ITmedia]

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