SMSが真のPushを実現する?──ロジカ

通常のデータ通信チャンネルを使わず,SMSをデータ通信に利用することで信頼性・秘匿性に優れたPush型アプリケーションが構築できるという。

【国内記事】 2001年10月30日更新

 日本経済新聞社主催の「モバイル・ビジネス2001」が10月30日,東京国際フォーラムで開催され,ワークショップではロジカ・ジャパンの高橋康氏が「モバイル・ビジネスの市場性とその動向」について講演した。

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ロジカ・ジャパンのソリューション&ワイヤレス・インターネットシニアテクニカルコンサルタントの高橋康氏

FOMAのビジネスとしての効果は不透明

 ロジカ・ジャパンは英国に親会社を持つ企業で,移動体通信業者向けのショートメッセージサービス(SMS)のソリューションを事業基盤としている。全世界でSMSサービスを200社以上に提供しており,世界シェアで50〜60%を占めるという。

 国内ではJ-フォングループやツーカーグループに,Eメールを除くショートメッセージサービスを提供している。

 講演が始まってすぐ,「FOMAもビジネス(ツール)としてどれほど効果があるかは,はなはだ不透明」と,高橋氏は始まったばかりのFOMAサービスに疑問を呈す。高橋氏は「データの高速性」「常時接続」「定額制」というPCの常時接続の特徴を挙げ,「今の3G(第3世代携帯電話)は高速になっただけ。それは有効なのか?」と問い掛ける。

 ロジカの考えでは,第3世代携帯電話は“技術ではなくアプリケーションが主体”となる。だが残念ながら「3Gのキラーアプリケーションは今のところない」と高橋氏。さらに「人口の密集した地域では,公衆無線LANがPHSや3G携帯を脅かす」と,高橋氏は第3世代携帯電話にはライバルが多いことを指摘する。

 それでも「3Gのインフラは柔軟だ」とし,高速化する速度や携帯電話向け分散処理などの標準化が進むことを挙げ,将来へ期待する。

 結局のところ,ビジネスでの利用を考えた場合「2002年,2003年。そこに至るまでは(第3世代携帯電話は)選択肢の1つでしかない」(高橋氏)ようだ。

SMSが真のPushを実現する?

 “技術よりもアプリケーション”と語るロジカでは,得意とするSMSを生かしたアプリケーションサービスを構想中だ。

 送受信する情報を通常のデータ通信チャンネルではなく,SMSを使ってやり取りすることで「真のPushが実現する」と高橋氏は言う。現在,携帯上のJavaを使ってPushサービスが提供されているが,これは擬似的なものにすぎない。

 「JavaアプリケーションがPushをサポートしようとすると,定期的にサーバにアクセスしなくてはならず,コストもかかるし真のリアルタイムではない」(高橋氏)

 サーバから送信されたSMSが端末に届くと,端末内のアプリケーションがそれを感知して,処理を行う……それがロジカの考えるPushサービスだ。「SMSでデータを送り自動的に壁紙が変更される,ということなどが可能になる」と高橋氏は言う。

 iモードで使われるパケット通信などは,PDCシステムでいうトラフィックチャンネルが利用されているが,ロジカのSMSでは「制御用のUPCH(User Packet CHannel)を利用したメッセージ交換を使うことで,信頼性,秘匿性にも優れる」と高橋氏。

 もっともこの構想を実現するのはそう簡単なことではない。課題として,携帯電話端末メーカーはSMS経由の情報をアプリケーションが利用できるように端末を改良したり,通信キャリアもSMSのプロトコルを公開したり料金体系を見直したりする必要があるという。

 PCインターネットの世界では,その有用性に疑問符が付くことも多いPushサービスだが,携帯電話では“Pushサービスとしてのメール”の威力は実証済み(10月29日の記事参照)。そして擬似的にであれ,Javaでもアプリケーションと連動したPushサービスは可能だ。

 技術よりアプリケーションが重要なのは同社が言うとおり。どのような技術が利用されようとも,Pushサービスが携帯の可能性を広げてくれるのは間違いないところだろう。

[斎藤健二,ITmedia]

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