News 2000年7月3日  8:20 PM 更新

日テレとNTTグループ,広帯域時代の映像コンテンツの著作権管理構想を発表

 日本テレビ放送網,エヌ・ティ・ティ・エムイー(NTT-ME),NTT東日本の3社は7月3日,広帯域インターネット時代における映像コンテンツの著作権管理システムとして「B-BAT」(ビーバット:Broad Band Mart)構想を発表した。

 CATVやADSLなど広帯域インターネット接続の普及にともない,動画など映像コンテンツのネット流通の拡大が見込まれている。ただ現状では,映像コンテンツは著作権管理作業が頻雑なほか,違法コピーの危険性などが障害となって,十分には普及していない。そこで3社では,著作権管理システムの統一的な枠組みを提案することで,映像コンテンツビジネスの市場拡大に弾みをつけたい考えだ。

 現在,著作権物をネットで流通させる場合,著作権者と個別に契約を結ばなければならいが,ビーバットが著作権者と契約し,著作権管理・保護を請け負うことで,コンテンツプロバイダーはビーバットと契約を交わすだけですむようになる。

 ビーバットにおける3社の役割は,日本テレビが映像著作権に関する専門知識などを提供。NTTグループ2社は,電子透かし技術や,MPEGエンコード技術の開発ほか,課金サーバ/コンテンツ管理サーバの運用など,ビーバットのシステム面を担当する。

 会見に出席した日本テレビの氏家齊一郎社長は,「広帯域インターネットは,次世代の基幹メディアとなるものだ」と主張する。ただ,ネット上で映像コンテンツが本格的に普及するためには,「もっともトラブルが起こりやすい著作権管理に対する,新たな取り組みが必要だ」(同社長)と述べ,ビーバットのような著作権管理システムの重要性を説いた。

 また同社長は,こうした著作権管理システムは「オープンで中立であることが求められる」ことを強調。日本テレビが独占的にコンテンツ流通を抑えるわけではないとした。

 3社はまず,今月4日に「ブロードバンドビジネスフォーラム事務局」を設置し,映像コンテンツの権利者,メディア各社,ならびにインターネット接続事業者などにビーバット構想への参加を呼びかける。

 日本テレビメディア戦略局の久保伸太郎氏によれば,既に,NHKおよび在京民放キー局には参加を申し入れており,「前向きな返事をもらっている」(同氏)という。また,2000年秋には,著作権管理ビジネスの検証を行う企画会社を設立,2001年春に事業会社化する計画だ。なお事業会社化の際には,日本テレビ以外のTV局が資本参加する可能性もあるという。

関連リンク
日本テレビ放送網
エヌ・ティ・ティ・エムイー
NTT東日本

[中村琢磨,ITmedia]

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