News | 2000年7月13日 07:50 PM 更新 |
マイクロソフトは7月13日,Windows CE 3.0をベースにしたモバイルコンピューティングプラットフォーム「Pocket PC」の日本語版を発表した。同時に,国内ハードウェアベンダーに対してOEM出荷を開始しており,カシオ計算機および日本ヒューレット・パッカード(HP)が9月より順次製品を出荷することを表明している。
マイクロソフトは,Pocket PCがOutlookやWordといった従来のPCアプリケーションと高い親和性を持っていると強調。モバイル環境においてデスクトップPCに迫る機能性を実現可能なPocket PCは,「単なる個人情報管理ツールではない」とアピールした。
.NET戦略とPoceketPCが実現するモバイル環境について語った米MicrosoftのBob Muglia副社長 |
Pocket PC日本語版の発表会に出席した米Microsoftのビジネスプロダクティビティグループ副社長であるBob Muglia氏は,「高機能なワイヤレス環境を実現するPocket PCは,.NET構想のサービスモデルに対応する初の製品だ」と述べ,Windows 2000など既存プラットフォームとの連携により企業の生産性を大幅に向上させると説明した。さらにMicrosoftでは来年,スマートフォン向けのプラットフォーム「Stinger」を発表し,モバイルプラットフォームの充実を図る計画だ。
「Microsoftは,MSN Mobileなどのインターネットアプリケーションから,Pocket PCやスマートフォンなどのモバイルデバイスのプラットフォームをエンドツーエンドで提供することにより相乗効果を生み出し,新たな付加価値を創造する」(Muglia氏)
カシオが開発中のPocket PC版cassiopea。9月に出荷される予定だ(クリックで拡大) |
「PocketPCでは,モバイル環境での操作性や,小さい画面をどのように有効活用するかが課題となった。もちろん,PCアプリケーションとの互換性も重視されている」(同氏)
Pocket PCではユーザーインタフェースを改良。「スタート」ボタンを画面左下から画面左上に移動し,コマンドバーを左下に配置することで,限られた画面スペースの中で効率的に作業が行えるようにした。また,「歩行中のダブルクリックは非常に困難」という理由からシングルタップを採用,タップ&ホールドでマウスの右クリックの操作に対応する。
Pocket PCに搭載されるWebブラウザの「Pocket Internet Explorer」は,HTML 3.2をサポートし,ほとんどのWebサイトにアクセスすることが可能だ。また,PDAの小さなディスプレイでも見やすいように,Webページは自動的に再構成する機能を持つ。メールソフトの「Pocket Outlook」では,電子メールの添付ファイル「.doc」や「.xls」などをダイレクトに開くことができる。Pocket PC側で添付ファイルのフォーマットを変換するので,Palm-size PCのように送信者に特別な操作は要求されない。
また発表会では,NTTドコモのコンパクトフラッシュ型通信カード「P-in Comp@ct」を利用し,電子メールに記載されたURLからそのWebサイトにジャンプするデモを実演。PCと変わらない操作性をアピールした。
Pocket PC製品の出荷を表明しているカシオならびに日本HPは,会場に開発中の試作機を展示していた。
カシオでは,小型・軽量でSDカードを採用した個人向けと,防水・対衝撃機能を重視し,コンパクトフラッシュスロットを装備した企業向けの2機種を発売する予定だ。同社常務取締役コンシューマ事業部長の鈴木洋三氏は,「Pocket PCはカシオのモバイル事業の中核製品になる」と意気込みを見せた。価格は未定だが,従来のPalm-size PC「cassiopea」と同等になる見込みだという。また日本HPは,米国市場同様に,「Jornada540」シリーズのPocket PC版を発売する。価格は未定だが,米国版と同等になるもよう。
関連リンク
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