News 2000年7月13日 11:35 PM 更新

ソニーのPalm OS搭載機詳報(2)

 しかし,ソニーのPalmデバイスに搭載されているCPUは,これまでのPalm製品と同じx68000ベースの「DragonBall EZ」だ。わずか20MHzで動作する非力なプロセッサで,ムービーが動きだした意味は大きいだろう。ソニーの木村氏は,「PlamはハイパワーではないCPUで良いソフトが動作するというバランスが良いところだ。動画の再生にはパワーが必要だが,われわれは第1号機から動画対応を実現した」と胸を張った。

 ただし,gMediaは7月13日の時点で「バージョン0.5.5」と,未だアルファ版の状態だ。実際,発表会場で動作していた十数台のサンプル機のうち,カラー動画を再生していたのはわずか2台のみ。ソニーでも,9月の製品出荷にカラー対応が間に合うかどうかは微妙だとしている。「その場合は,後でWebからダウンロードすることになる」(ソニー)。

 動画をPalmデバイスに取り込むには,静止画と同様,PC上でPictureGear Lite 4.2を使用する。このソフトは,現在VAIOシリーズにバンドルされている「バージョン4.1」にPalmデバイス向けの機能を追加したものだ。発表会場に展示されていたのは開発途中の製品だったが,モノクロ動画のフォーマット変換機能は既に盛り込まれていた。その設定画面には,160×120ピクセル,120×90ピクセル,80×60ピクセルという3種類のサイズがあり,それぞれの推奨フレームレートは4,6,10となっている。圧縮レートは「高画質」「高圧縮」の2種類で,高圧縮に設定すれば,フレームレートは若干増えるはずだ。一方,ソニーによると,カラーの場合でもフレームレートはあまり変わらないという。なお,動画を転送するには,USB接続のクレードル経由か,ソニーの提供するネットワークサービスを利用する,という2通りの方法がある。

 そのネットワークサービスも同日発表された。ソニーは,携帯端末のリリースに合わせる形で,既に米国で展開している「ImageStation.com」の国内サービスを開始。インターネット経由で画像や動画を手軽にやりとりできるようにする。

「デジタルカメラやDVで撮影した動画・静止画をWebにアップロードして,複数のユーザーがPDAから見ることができる。ファイルの保存に加え,コミュニティで共有するといった用途に適したサービスだ」(ソニー)。

ワイヤレスネットワーク接続を標準装備

 パーソナル エンターテインメント オーガナイザーには,「モバイルコミュニケーションアダプター」と,複数の通信キャリアに対応した接続ケーブルが標準でバンドルされ,手持ちの携帯電話やPHSを使って,すぐにワイヤレスネットワークを構築できる。

 具体的には,PDC(携帯電話)でNTTドコモ,J-フォン,ツーカー,DDIセルラー,IDOをサポート。PHSでも,NTTドコモ,アステル,DDIポケットの各キャリアに対応している。ただし,cdmaOne方式は未サポートだ。

 ネットワークの設定も簡略化された。ソニーがインプリメントした「Sonyネット接続」は,画面に従って必要事項を入力していくウィザード式だ。ユーザーは,初期画面に登録されている「ネット設定」アイコンをクリックし,ISP設定もしくはネットワーク設定を選択,回線,プロファイルといった順番で入力していくだけ。Webブラウザの「Palm Scape」とメーラ「MultiMail」も標準装備されている。どちらもジョグダイヤルでの操作に対応するほか,Palm Scapeでダウンロードしたキャッシュファイルは,メモリースティック内に保存することも可能だ。

 なお,モバイルコミュニケーションアダプターは,Palmデバイス本体から電源を供給する方式を採用し,小型化と軽量化を図ったという。TRG ProやJornadaがNTTドコモの小型PHS「P-in Conp@ct」に対応していることを考えると,ケーブルを使った接続に抵抗のあるユーザーもいるかも知れない。ソニーの場合は,追加投資の必要がないという点が最大のメリットだろう。

写真ではよく分からないが,カラー版(左)はブルー,モノクロ版(右)はグレーのきょう体だ

クレードルはUSB接続,シリアル版はオプションとなる

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[芹澤隆徳,ITmedia]