News 2000年7月18日 09:55 PM 更新

NECがコンシューマー向けPCの直販事業に参入

 NECは7月18日,PC関連の情報を統合したWebサイト「121ware.com」(ワントゥワンウェア・ドット・コム)を開設。その一環として,直販サイトの「121@store」を立ち上げ,個人向けPCの直販事業に参入することを明らかにした。121@storeでは,BTO対応の専用モデルとして,デスクトップPC「VALUESTAR G」シリーズ11機種,ならびにノートPC「LaVie G」シリーズ4機種をラインアップ。そのほか,HomePNA製品など,ホームネットワーク関連の周辺機器も用意した。同日より受注を開始している。なお既存モデルの直販については,現時点では予定していないという。

 121ware.comはその名の通り,ユーザーに対するワントゥワンマーケティングに重点を置くのが特徴だ。NECソリューションズ執行役員の富田克一氏は,「NECではこれまで,個人ユーザーの情報を活用したサービスを行っていなかった」と述べ,121ware.comでは顧客データベースと連動した顧客満足度向上のための新サービスを提供すると強調した。具体的なサービスとしては,カスタマイズ機能がある。例えば,121@storeでPCや周辺機器を購入すると,関連ドライバの更新情報や,興味のありそうな新製品情報などがユーザーごとに表示されるという仕掛けだ。

 また121ware.comでは,直販以外に,ユーザー同士の情報交換が可能な「コミュニティサービス」,PC活用法を提案する「アドバイスサービス」,ならびにオンラインサポートやNECのサービス拠点情報を提供する「レスキューサービス」を用意。ユーザーにとって必要な情報が1カ所で手に入るワンストップサービスを提供していく。

価格は店頭の実売と同等

 直販で取り扱うデスクトップPC/ノートPCは,全モデル注文生産に対応し,CPUやメモリ,HDDなどの仕様を変更することが可能だ。さらにユーザーの用途にあわせて,PCやアプリケーション,ならびに周辺機器を組み合わせた「ISDNセットモデル」「ホームページ作成モデル」なども提案する。

 直販モデルの価格についてNECでは,「あくまでもユーザーとのコミュニケーションを図るのが目的」という理由から,同スペックの製品と比べた場合,店頭での実売価格と同じ程度になるとしている。納期は,デスクトップPC/ノートPCが7日(最短5日),周辺機器が5日(最短3日)。製造から配送までのプロセスを逐次インターネットでチェックすることも可能だ。支払い方法は,銀行振込,クレジットカード,代金引換から選択できる。

 またサポートについては,既存の電話によるサポートサービス(パソコンインフォメーションセンター)が利用できるほか,注文内容や納品日を電話で確認できる専用のコールセンターを新たに設置した。

新たな関係構築に向けた試金石となるか

 個人向け製品の直販事業は小売店との軋轢を生むとも言われるが,富田氏は「個人向けPCの直販の市場規模はまだまだ小さい。主流は店頭での販売だ」と強調した。しかしながら,最大手のNECが個人向けPCの直販を開始すれば,小売店に対する影響は少なくない。そのためNECでは,小売店からの反発を避けるための対策を用意している。

 NECは,小売店のWebサイトを通じて121@storeにアクセスし,商品を購入した場合には,小売店に手数料を支払うことにしている。さらに実際の店舗にも専用端末を設置し,注文を行えるようにする。この場合も手数料が支払われる。電子商取引サイトでよく使われるアフィリエイトプログラムに似たシステムだ。現時点でどのWebサイトと連携し,どの店舗に端末を設置するか未定だが,NECでは「今年度中に300店舗に端末を設置する」と説明する。

 問題は,ユーザーは必ずしも小売店のサイトからアクセスするとは限らないという点だ。小売店には,あらゆるメーカーの製品が並んでいるという利点あるが,NECの商品が欲しい人は,NECのサイトに直接アクセスするのが道理。さらに,121@storeでは,NEC製の周辺機器に加え,他社製品(デジタルカメラやメモリなど)も扱っており,小売店のサイトに行かなくても大抵のものはそろってしまう。しかも,ポイントサービスまで提供するなど,小売店も顔負けの充実ぶりだ。

 NECのコンシューマー製品の直販参入は波紋を呼ぶだろう。しかしながら,NECとならぶ最大手の富士通も,今年の4月より個人向けPCの直販を開始(4月20日の記事参照)している。大手のPCメーカーはこれまで,既存の小売店との良好な関係を維持するため,コンシューマー分野での直販をためらっていたが,直販への移行はもはや大きな流れとなりつつある。NECの示すアフィリエイトプログラムが,小売店とメーカーの新たな関係構築に向けた試金石となるか,今後の動向が注目される。

関連リンク
121ware.com

[中村琢磨,ITmedia]

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