News 2000年7月21日 11:45 PM 更新

ホンダが人型ロボットをデモ――ゆめテク開幕

 東京ビッグサイトで7月21日,「21世紀夢の技術展」(ゆめテク)が開幕した。ゆめテクでは,21世紀の社会基盤を構成する最先端の技術について,「環境保全」「情報・通信」「宇宙・海洋開発」「生活基盤」の5分野から紹介。100を超える国内外の企業・研究機関・大学が出展する大規模なイベントとなっている。期間は8月6日まで。

人型にこだわるホンダ

 TV CMで既にお馴染みとなった2足歩行が可能な自律型ロボット「P3」を出展していた本田技研工業のブースには,大勢の来場者やマスコミが集まっており,人型ロボットへ関心の高さを伺わせる。

階段を見事に降りてみせたP3。後ろのディスプレイには,P3のカメラが認識した足元の映像と,実行中の処理が表示されている。

 本田が人型ロボットの開発に着手したのは1986年。まずは下半身の開発から取りかかり,「E0」のコードネームが与えられた。最初はすり足のような歩き方しかできなかったが,2年後の1988年には時速1.3キロで歩行するまでになった。上半身が取り付けられたのは1994年。ここから開発コードが「P」シリーズになる。最初は全長約2メートルと巨体で,電源や制御用コンピュータも内蔵していない。そして3世代目である現行型のP3では,身長160センチ,体重120キロと人間に近い体型を実現した。

1994年に開発されたP1。全長は約2メートルある。
 だがロボットを開発するにあたり,人型が必ずしも効果的だとは限らないとの見方もある。例えば,階段の上り下りは,2足歩行よりもキャタピラのほうが安定するし,手が4本あれば作業用ロボットとしては非常に有能だろう。また,本田も認めているが,人間がなにげなく行っている動作をロボットに実行させることは,非常に困難だという。

 それでも本田が人型にこだわるのは,ロボットが人間社会にとけ込めるようにするためだ。例えば,介護用ロボットとして機能した場合,人間の形をしていたほうが,安心感を与えると本田では考えている。

 なお本田ブースでは1日2回(13時/15時),P3のデモンストレーションを実施。階段を下りたり,バランスを取りながら傾斜に立ってみたりと,TV CMだけでは分からないP3の性能を見ることができる。

家電は全て対話型に

 日本アイ・ビー・エム(IBM)のブース「Technology World by IBM」では,対話型PC「PONG」のデモを行っている。米IBMは,「ブルー・アイズ」というプロジェクトの中で,人間の感情を理解するコンピュータの開発に取り組んでおり,PONGはその一環として製作されたもの。

質問に答えるPONG。まだまだ開発段階だが,対話型家電のベースとなる技術が搭載されている。

 PONGは,音声認識技術により人の会話を分析し,音声合成によって返事をする。デモの内容は,挨拶をしたり,かけ算をしたりというもので,特に目新しさはなかったが,ピンポン玉のような眼球がときおりランダムに動くのが感情を表しているようにも見えた。

 IBMによれば,ブルー・アイズでは,対話機能を備えたTVや冷蔵庫などの開発にも取り組んでおり,家電製品は全て話しかけることで動作するようになるという。

[中村琢磨,ITmedia]

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