News 2000年7月24日 04:25 PM 更新

携帯電話向け動画配信システムのPacketVideo,国内での事業を本格化

 携帯電話や携帯端末向け動画配信システムを提供する米PacketVideoは7月24日,国内での事業を本格化すると発表した。同社は,6月8日付けで全額出資の日本法人「パケッドビデオ・ジャパン」(資本金1000万円)を設立しており,携帯電話インターネットの普及が著しい日本市場において事業の拡大を目指す。

 PacketVideoは,MPEG-4をベースにした独自の配信システム「PVPlatform」を開発した。このシステムは,コンテンツプロバイダー向けのデコードツール「PVAuthor」,ストリーミングサーバの「PVServer」,携帯電話/PDAに搭載する再生プレーヤー「PVPlayer」などの製品群や管理ツールから構成される。携帯電話によるワイヤレスインターネット向けに最適化された設計となっているのが特徴だ。具体的には,一度エンコードしたファイルを端末のプロフィール(画面サイズや処理能力,消費電力など)に応じて配信することが可能なほか,通信速度が変動した場合に端末側で自動的にフレームレートを調整することができる。

 PVPlatformでは,昨年6月に通信速度14.4KbpsのCDMA方式において,フルレート(30フレーム/秒)の動画配信の実験に成功している。ただPacketVideoによれば,実際にサービスを行う際には,QCIFサイズ(176×144ピクセル)で5フレーム/秒が現実的で,W-CDMAやCDMA2000により64K〜128Kbpsの帯域が確保されれば,10〜15フレーム/秒の動画配信が可能になるという。

 「携帯電話でのインターネット接続は,通信速度が低いだけでなく,ビットレートの変動が激しい。そうした不安定な環境において,PVPlatformは最適な動画配信プラットフォームとなる」(PacketVideo)

 またPVPlatformは,パケット通信ならびに回線交換方式の両方に対応しているが,音声通話と同じ回線交換方式で動画配信サービスを提供した場合は,ネットワークの容量不足による音声通話の品質劣化が懸念される。この点についてPacketVideoは,「PVPlatformでは,携帯電話事業者が動画配信に割り当てるネットワーク容量を自動的に調整することができ,音声通話やそのほかのサービスに影響が及ぶことはない」と説明する。

 現在,米ABCNews.comやReutersなどのコンテンツプロバイダがPVPlatformを利用した試験サービスを行っているほか,Compaq ComputerおよびCASIOのPocket PC端末にPVPlayerが搭載されている。また国内では,NTTドコモ,NEC,ならびに三洋電機がPacketVideoと提携し,PVPlatformを利用した双方向動画配信システム・携帯電話の開発に取り組んでいる。

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PacketVideo

[中村琢磨,ITmedia]

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