| News | 2000年7月25日 11:05 PM 更新 |
最近増えているのは,制約を強めたP2Pファイル交換サービスだ。これは,コンテンツのやり取りを監視して,ターゲットを絞った広告を展開したり,著作権付きのファイルを交換する場合には料金を徴収したり,ユーザーの嗜好を調べて特別のセールス情報を送ったり(例えばマドンナの局をダウンロードしたユーザーには,マドンナのコンサートチケット購入方法を知らせるなど)といった手法で収益を確保するというやり方だ。
Adrian Scott氏とBill Bales氏(両氏ともNapsterのスタートに関わった)が新たに共同で設立したAppleSoupは先週の発表で,9月から上記のようなサービスを開始することを明らかにした。「われわれは著作権保有者と共存できる,次世代のP2Pネットワークを構築中だ。著作権保有者は自らのコントロールが効き,収入も得られる状態でコンテンツや作品を発表できるようになる」とScott氏。違法なファイル共有防止のため,AppleSoupがどのような保護システム設けるかの詳細については,同氏はコメントを避けている。同社は認可されたコンテンツだけを提供する方向で,コンテンツ製作者との契約を進めていく方針。同社は個人投資家から最初の資金として250万ドルを集めている。
デジタルコンテンツの著作権を保護するための技術提供を行なっている企業もある。InterTrust TechnologiesやVeranceなどだ。AOLは6月,今年中にInterTrustの著作権管理技術を自社の音楽プレーヤー「Winamp」に採り入れると発表している。InterTrustによると,同社の技術はあらゆる配信形態に対応可能。例えば,再生は一度限りでユーザーが同じ曲をもう一度聞きたいと思った場合は「購入」してもらうといった形も可能だ。。MicrosoftのWindows Mediaも,独自の著作権管理システムを導入している。例えば,Windows Mediaフォーマットで無料リリースされた曲は,2週間の有効期限を設けるといったことが可能。
LightshareもP2Pベンチャーの1社。同社は8月にオークションサービスを開始する。基本的にはユーザーがダウンロード可能なファイルを売るという形式だ。同社のCEO(最高経営責任者)Clarence Kwan氏によればこのサービスは無料だが,他の諸サービスを有料化することで収入を得るという。また,未認可のMP3ファイルの売買を防止するため,サービスの対象にできない楽曲名をまとめた巨大ブラックリストを作成したとのことだ。他のオークションサイトではなくLightshareを利用する価値は何かとの質問に対するKwan氏の答えは次の通り。「ユーザーのPCに保存されている合法的なものなら何でも売買できる点。売買したいファイルのリストをアップデートしたければすぐにできる。手元のPCに保存されているのだから」
P2Pファイル共有技術を「コミュニティ構築のためのツール」と位置付けている新興企業もある。ここでは,ファイル共有は既存のサイトの価値を高め,ユーザーの定着を促す手段としてのチャットに似たようなものと解釈される(チャットそのものも,P2Pアプリケーションとして考えることが可能だろうが)。Softmaxの共同創設者でCEOのJason Grosfeld氏はこう話している。「コンシューマーは1対1のコミュニケーションを好んでいる。電子メールやチャットを見れば分かる通り,貪欲とも呼べるほどだ。P2P技術が次にヒットを飛ばすのは確実だ」
Softmaxは1月に設立された。ファイル共有サービスを「合法的に」提供しようと考えているインターネットサービスプロバイダーやポータルに,自社のP2Pソフトを販売していく計画だ。Grosfeld氏は同社のソフトがどのようにファイル交換の監督やそれに伴う決済を代行するのか,詳細は明らかにしていないが,「著作権を有する作品をフィルタリングする方法を取り入れる」と述べている。
社員10人の会社Pointeraも似たような戦略を展開している。Manish Vij氏は6月にSpinfrenzy.comを母体にPointeraを設立した。Spinfrenzyは同氏が十代の若者をターゲットに開始したサイト。同氏は大手のポータルから,SpinfrenzyのP2Pネットワーキング技術のライセンスについてたくさんの問い合わせがあると話しており,この機会にうまく乗じた形となった。Vij氏もGrosfeld氏と同様,自社のソフトに著作権保護機能があることには触れたが,詳細までは明らかにしていない。
AppleSoup, Lightshare, Pointera,Softwaxはいずれもビジネスとして成立していくための納得できる青写真を掲げている。しかしながら,何千,いや何百万というP2Pトランザクションを捕捉・監視していくのは,技術上気の遠くなるような作業だと,Entropiaの社長兼CEO,Jim Madsen氏は警告している。同社は,PCユーザーのボランティアネットワークを形成して分散型コンピューティングサービスの開発にあたっている。「これら新設サイトの運営者は,何百万というユーザーに対し請求書を発行する作業がどれほど複雑か理解しているのだろうか」と同氏。