News 2000年7月25日 11:05 PM 更新

Napsterに続け? 「P2P」新興企業群に成功のチャンスはあるか(4)

コンテンツ獲得競争の激化へ

 コンテンツの問題もある。P2Pベンチャーが法規制に則った経営を貫こうとするなら――つまりNapsterのような音楽業界との対立を回避しようとするなら――数百と存在するエンターテイメント指向のドットコム企業との間で,ライセンス契約をめぐって競争を繰り広げなければならなくなるだろう。エンターテイメント界との交渉では,ClickRadio, Launch.com,MP3.comなど,既に多くの企業がかなり先を行っている。

 さらに,BMG Entertainment, Sony Music Entertainment,Universal Music Groupなどは,独自にセキュアなオンライン音楽配信サービスを開始すると発表ずみだ。Time WarnerはAOLと合併する。そのAOLは最近,InterTrustと提携した。この状況下で誕生間もないベンチャーなど,生き残っていけるのだろうか。

 もし,P2Pサービス企業がMP3や他のブランドのファイル共有サービス提供を認められなかったら(事実,認められるという保証はどこにもない),ほかに共有できるものは何があるだろう。おそらくはGeoCitiesのP2P版か。「例えば,料理のレシピ,旅行スナップ,詩,研究論文など,個人的に作ったり蓄積されたコンテンツを検索できたら素晴らしいだろう」(SoftwaxのGrosfeld氏)

 だが,この主張には現実味がない。ある調査に示されるように,こうしたコンテンツに対するまとまった需要はない。「エンドユーザーを対象とした調査では常に,高品質で信頼できる情報源からのサイトを見たいという回答が主流だ」と指摘するのはInktomi技術調査部門の副主任Matthew Hall氏。

 「例えばSanta Clara County Bar Associationを検索するとしよう。ユーザーが見たいのはこの団体の公式サイトであって,ちょっと触れている部分があるだけの,関係のない個人が運営するサイトではない」(同氏)

 一部の新興企業は,内部で情報交換を行なうだけの極めて私的な団体へのサービス提供がP2Pの市場として成立し得るかもしれないと考えている。しかし,この小さな市場にも,グループウェアというサービスが既に存在する。またMicrosoft Windowsにも以前から,P2Pネットワーキング機能は組み込まれている(セキュリティ確保のため企業ネットワークから定期的に追い出されることはあるが)。

 企業環境におけるP2P技術の失敗例として挙げられるのはKangaroo Networks。この会社は1995年に「ピア・ツー・ピア・ツー・ピア」型のネットワークシステムの販売を試みた。ネットワーク上のどこにあろうとすべての参加者のファイルを常に最新のものに保つというネットワーク分散システムだった。だが問題は,誰もこうした機能を望んでいないことだった。そして今日,この会社はPunch Networksに社名を変え,インターネットを使ったファイル保存サービスを提供している。Punch Networksの設立者で企業開発部門の副主任David Campbell氏は当時を振り返り,KangarooのP2P技術では「管理者は,データの集中管理ができなかった。つまり障害復旧のためのバックアップができなかったのだ。あるIT管理者に“15年もかかってデータ集積をやってきたのに! 今すぐ元に戻してくれ!”と怒鳴られた」と語っている。

 だが,P2Pネットワーキングベンチャー全部がNapsterのようなファイル交換サービスに基盤を置いているわけではない。

 4カ月前に設立されたKalepa Networkは,P2Pネットワークをベースとするインフラサービスを中心に事業を進めている。このサービスは,Webコンテンツの配信を高速化するというものだ。これは,Akamai Technologiesなどのコンテンツ配信ネットワークアーキテクチャを,エンドユーザーのコンピュータにまで拡大しようというものだ。Kalepaは,コンテンツの高速配信を望むWebサイト顧客から,P2Pネットワーク利用に対して料金を徴収し,その後何らかの形でネットワーク参加者に見返りを返すことができる。

 Kalepaの創設者であり,CEOのMiko Matsumura氏は,「P2Pネットワーキングそのものに賭けることにはいくつか問題がある」と説明する。同氏はSun MicrosystemsでJavaのチーフエバンジェリストを務めていた人物だ。「例えばAkamaiは,Webのクライアント/サーバ型アプリケーションを,少しだけ分散的に動かすことに注力している。だが,非クライアント/サーバ型の,大規模分散によるコンテンツ配信の手法は確実に存在する」

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