News 2000年7月25日 11:05 PM 更新

Napsterに続け? 「P2P」新興企業群に成功のチャンスはあるか(5)

PointCastの二の舞?

 しかし,どのようなビジネスモデルを取るにせよ,P2Pネットワークは技術的に重大な問題を共有している。

 今日のP2Pネットワーキングスキームを分析するにあたって,プッシュ技術の前例が示唆するものは大きい。プッシュは4年前主流になっていくだろうと思われていた技術だ。ユーザーがオンラインで常に最新の情報を得られるよう従来の「プル型」の情報の流れを逆流させるという,新しいパラダイムを構築すると見られてもいた。もちろんこれは現実にはならなかった。プッシュの代表格であるPointCastのクライアントアプリケーションは,とてつもなく大きい帯域幅を必要としたため,多くの企業が利用を禁止するという結果に陥った。

 P2Pネットワークはさらに大きな帯域幅を必要とするかもしれない。いくつかの大学でNapsterが禁止されたのも著作権に関わる法的な問題が理由ではなく,帯域幅を占有してしまうというのが原因だ。P2Pの問題点はネットワークプロトコルが非常に「饒舌になる」点だ。リソースを特定するためネットワーク上の他のコンピュータを常時チェックしていなければならないためである。このトラフィック量に2000万人という数字を掛け算しただけでも,ネットワークの深刻な速度低下を引き起こすだろうことは想像に難くない。

 「P2Pネットワークはあらゆる意味で非効率的だ。Napsterはその典型的な例だ」と指摘するのはI-driveのCEO,Jeff Bonforte氏。同社は中央のWebサイトでユーザーがファイル共有できる仮想ハードディスクサービスを提供している会社だ。

 Napsterのビジネスモデルの究極の形態は,大学やサービスプロバイダー,企業などに帯域幅管理システムを売ることではないかと考える人もいるかもしれない。実際,「窓を割りながらガラスを売る」式のこうしたビジネスモデルには前例がある。PointCastの製品の1つだったプロキシサーバだ。これは同社のサービスで起きるネットワークの輻輳を和らげるためのものだった。Napsterも必要な帯域幅を圧縮するツールをサイト上にいくつかリストアップしているが,特定の製品の使用を薦めてはいない。

 P2Pネットワーキングはまた,ネット接続のための主要な手段として今後の急速な普及が見込まれているモバイル機器などの情報端末には向いていない。

 例えば,ネット対応電話機にはNapsterのようなアーキテクチャに対応できるだけのストレージ,帯域幅,処理能力がない。

 P2Pモデルの技術上の難点はほかにもある。例えばあるユーザーが,別のユーザーからファイルを得たいとする。しかし後者のPCに電源が入っていなかったら対処のしようがない。Napsterにこの問題が生じていないのは,例えばあるユーザーがBritney Spearsの曲を欲しがっていたとしたら,同じ曲を提供できるユーザーがほかにもいる場合が多いからだ。稀少な楽曲の場合は,こううまく事は運ばないかもしれない。ニュースレター「Search Engine Watch」の編集者Danny Sullivan氏はさらにこう指摘する。「P2Pサービスは嫌がらせに使われる可能性がある。例えばGnutellaから入手した,私が“MP3ポルノ”と呼んでいるものは,一見してポピュラー音楽のファイルかWebページに見えるが,開いてみたらポルノサイトがダウンロードされた」

 そして,最後に懸念されるのはP2Pサービスが拡大するにつれセキュリティやプライバシーの問題が増大する可能性が高いという点だ。Giga Information Groupの調査部門の副主任Rob Enderle氏は「P2Pサービスにはセキュリティの面で特有の危険がある。ある情報にアクセスできるということは,その情報を書き換えるために接続できてしまうということだからだ」

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