News 2000年7月27日  0:30 AM 更新

ウワサのG4 Cubeを見てきました

 先日の「MACWORLD Expo」で大量に発表されたAppleの新製品を見ることができた。アップルコンピュータは7月26日,国内の報道関係者に向けて会見を開き,CPUの増えたマッチョな「PowerMac G4」,少し大人っぽくなった「iMac」,小さなな新顔「PowerMac G4 Cube」,そして周辺機器群を披露した。各製品の詳細な記事はMacWIREに任せることにして,今回は注目のG4 Cubeを取り上げよう。

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 その特徴は,なんといってもG4プロセッサを詰め込んだ8インチ(約20センチ)四方の小さなきょう体だ。未だにノートPCに使えないほど熱くなるCPUにもかかわらず,冷却ファンなしで実装されている。動作音といえばHDDのシーク音のみ。iMac同様,静かなマシンである。なぜ,冷却ファンなしで熱いG4を駆動できるかと言えば,その秘密は効率的な空冷設計と,外に追い出されてしまった電源回路だ。

 きょう体の中央には,垂直の冷却管が設けられ,空気は下から上に向けて流れる。この空間を確保するため,ロジックボードからグラフィックボード,HDD,そしてスロットインタイプのDVD-ROMドライブに至るまで,ほとんどの装置が縦置きで装着されている。従って,DVDメディアをイジェクトすると,本体上面から,まるで日の出のようにディスクがせり上がってくるのだ。タイトル面が良く見えるのは便利だが,一方で設置場所は限定されてしまうだろう。アップルによると,上に物を乗せるのはもちろん,横置きも御法度なのだそうだ。

上から見たG4 Cube。中央がエアダクトになっている

 外部電源ユニットは,想像以上に大きかった。展示機の下にもぐり込んで撮影したのが下の写真だが,小型の枕並みのサイズである。デスクトップ機に外部電源があること自体が珍しいが,ノートPCでもここまで大きなものは見たことがない。しかも,結構熱くなるようで,冬場は湯たんぽの代わりになりそうだ(編集部注:電源を暖房器具にするのは危険なので止めましょう)。

大きな外部電源ユニット

 さて,本体に話を戻そう。G4 Cubeは,そのコンパクトさとは裏腹に,メンテナンス性に優れている。きょう体を裏返し,中央のバーを一度押し込むと,取っ手が出てくる。これを持って引き上げれば,内部回路が丸ごとエンクロージャーから外せる仕組みだ。ここで,主要なコンポーネントのほとんどにアクセスできる。このあたりは,是非写真を掲載したいのだが,今回は「コミュニケーション上の都合」(アップル)という,よく分からない理由で撮影を断られてしまった。面目ない。

 きょう体を戻すときは,前後を間違えないように気をつけよう。親切なアップルは,きょう体とエンクロージャーにオレンジ色の印を付けてくれたぞ。これが向き合うように挿入すればいい。

 インタフェース類は,今回から採用されたADC(Apple Display Connector:デジタルディスプレイインタフェースと電源,USBを1本のケーブルで接続できるコネクタ)に加え,通常のD-Sub15ピンVGA出力,IEEE 1394×2,USB×2,10/100BASE-T,56Kbpsモデムのモジュラージャックといったところ。名前こそ“PowerMac”だが,PCIスロットやベイといった拡張性は度外視されており,SCSIボードやドライブなどを内部に増設する余地は全くない。後から増設できるのは,メモリとAirMacカードだけだ。AirMacカードも,やはり縦に組み込むことになる。

G4 Cubeの下面。中央のケーブルが接続されているコネクタがADC

 アップルは,G4 Cubeをコンシューマー機とプロフェッショナル機の中間と位置付けているが,一方で「ターゲットは,すべてのコンシューマーだ」と言い切っている。製品ラインの区別はさておき,ディスプレイ一体型のiMacと分離型のG4 Cubeが,コンシューマー向けデスクトップの双璧となったわけだ。余談になるが,今回の発表にはSteve Jobs氏の復帰前によく聞いた「プロシューマー」という曖昧な言葉が出てこない。このあたり,フォーカスがはっきりしたと解釈してもよいだろう。

 アップルでは,8月中旬よりG4 Cubeの出荷を開始する。初期出荷量は,例によって「分からない」(同社)そうだが,今Apple Storeで予約すれば,発売日に届けることができるらしい。価格は,450MHz CPUを搭載した標準仕様で19万8000円。もれなく,ハーマンカードン製ユニットのUSBステレオスピーカーと2ポートのUSBハブ機能を内封したデジタルアンプユニット,新型の「Apple Pro Keyboard」と光学式マウス「Apple Pro Mouse」,そしてDV編集ソフトの「iMovie2」が付いてくる。

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アップルコンピュータ

[芹澤隆徳,ITmedia]

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