News 2000年8月02日 08:15 PM 更新

デジカメ,ついに銀塩カメラを抜く──出荷金額は1年で2倍に,高画素機が需要に拍車

 日本写真機工業会は1日付で,2000年上半期における国内メーカーのカメラ出荷状況をまとめた。それによると国内出荷と海外輸出を合わせたデジタルスチルカメラの総出荷額は前年同期比117.3%増の1715億9300万円となり,同13.1%減だった銀塩スチルカメラの1447億2400万円を抜き,デジタルカメラが半期ベースで初めて銀塩カメラを上回った。

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 総出荷台数でもデジタルカメラは同131.3%増の397万6000台と好調な伸びを見せたのに対し,銀塩カメラは同0.1%増の1448万3000台と前年並みにとどまった。台数ベースでは銀塩カメラはデジタルカメラに3倍以上の差をつけているが,単価の高いデジタルカメラに金額ベースでついに追い抜かれた。

 デジタルカメラの国内出荷台数は111万台(同88.2%増),国内出荷金額は506億4400万円(同89%増)と前年同期の2倍に迫る高い成長を見せた。海外輸出も北米市場を中心に好調に伸び,輸出台数は286万6000台(同153.8%増),輸出金額は1209億4900万円(同131.8%増)となった。

 明暗を分けたのが銀塩カメラ。国内の出荷台数は175万台(同14.1%減),出荷金額は299億5400万円(同18.4%減)と,ここ数年の縮小傾向に歯止めはかからなかった。輸出では台数で1313万3000台(同2.3%増)とほぼ前年並みを維持したものの,金額では1147億7000万円(同11.6%減)とマイナスだった。

 デジタルカメラの好調の理由について,日本写真機工業会では(1)高画素化が進んだ(2)プリンタやデジタルラボなどインフラ整備が進んだ(3)PCとインターネットの普及──などを挙げている。特に今春相次いで発売された300万画素クラスの高画素機が国内外で需要を刺激したようだ。

 これを受け,日本写真機工業会では2000年のデジタルカメラの出荷予測(台数のみ)を大幅に上方修正した。それによると国内出荷台数は250万台(同66.8%増),輸出台数は660万台(同83.9%増),総出荷台数は910万台(同78.8%増)となる見込み。今年3月の時点では,総出荷台数は前年比34%増の680万台と予測していた。

 登場したころは玩具的な扱いを受けていたデジタルカメラだが,PCの爆発的な普及とCCDの高画素化でブームに火が着き,ついに市場規模で銀塩カメラを上回るに至った。カメラメーカー各社も,成熟市場である銀塩カメラから成長著しいデジタルカメラへと軸足を移しつつあり,あるカメラメーカーは開発者の半数をデジタルカメラへ振り向けたという。あらゆる分野でアナログからデジタルへのシフトが進んでいるように,写真分野においてもデジタル化はますます加速するだろう。

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日本写真機工業会

[小林伸也,ITmedia]

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