News 2000年8月18日 09:26 PM 更新

Windows Meの新機能「WIA」にスキャナメーカーは困惑

 9月にも国内発売される見通しとなったマイクロソフトの新OS・Windows Me。同OSで追加される数々の新機能の中に,デジタルメディアへの対応強化をうたった「WIA」(Windows Image Acqusition)がある。WIAはデジタルカメラやスキャナなど,デジタルイメージング機器から簡単に画像を取り込めるようにするための新API。ところがこれに反発するスキャナメーカーも出てきている。

 WIAは,Meに盛り込まれる目玉機能の1つ。スキャナやデジタルカメラの画像データをPCに転送する際,現在は広く普及しているTWAIN規格に対応したドライバと画像ソフトを利用するのが一般的だが,これに代わるものとしてマイクロソフトが開発したのがWIA。TWAINドライバは対応ソフトを起動させないと利用できないが,WIAはOSレベルで実装されているため,デバイスがWIAに対応していれば,スキャナやデジタルカメラを接続するとエクスプローラを使って画像を取り込むことが可能になるという。

 確かに,デバイスとPCの接続インタフェースやデータ転送に関しては,TWAINドライバ以外は各社まちまちなのが現状だ。WIAを利用すれば,Windows上で統一されたユーザーインタフェースを使用して画像も管理できる。マイクロソフトは「ユーザーはインタフェースやソフトの違いを気にすることなく画像を管理することが可能になる」とWIAのメリットをアピールする。

 ところが──。

 「これではメーカーの責任が問われてしまう」。マイクロソフトからWIAについて説明を受けたあるスキャナメーカー関係者は困惑の表情だ。「現時点のWIAでは,スキャナで画像を取り込む際,設定できるのは読み取り解像度やブライトネスといったごく基本的なものだけ。できることは非常に限られている」と不満げだ。

 デジタルイメージング関連市場は,PC周辺機器の中でも最大の激戦区だ。デジタルカメラやカラーインクジェットプリンタと並び,コンシューマー向けフラットベッドスキャナ市場では,シェア獲得を狙って国内大手から外国メーカーまでが入り乱れる混戦となっている。しかしカタログ上のハードウェアスペックではほぼ横並び状態が続いており,差別化のポイントは価格やデザイン,バンドルソフトとそう多くはない。

 従って付属のTWAINドライバもスキャナメーカーにとっては強力なアピール要素となる。実際,スキャナの使い勝手や取り込み画像の品質はドライバ性能に依存する部分が非常に大きい。取り込み時の設定項目やユーザーインタフェース,取り込み画像品質の向上など,各社とも知恵を絞ってドライバを練り上げており,製品カタログでも広いスペースを割いて独自ドライバの優秀さをPRしている。

 それだけに,前出の関係者は「仮にメーカーが今のWIAと同程度のドライバを作って配ったらクレームが殺到するだろう,というレベル」のWIAに渋い顔だ。別の関係者は「デジタルイメージングに世界一厳しい目を持つ日本のユーザーが,現時点でのWIAに納得するとは思えない。スキャナに関するノウハウを持たないマイクロソフトが,日本のユーザーでも満足できるものを作るには時間がかかるだろう」と見る。

 WIAはTWAINを置き換える規格としても想定されており,画像ソフトがWIAに対応していれば,現状のTWAINと同様に専用WIAドライバ経由で画像ソフトから取り込みを行うことが可能になる。しかし「これだけ普及しているTWAINを無視できるはずがない。WIAドライバと平行してTWAINドライバも開発せざるをえないだろう」(関係者)。つまり二度手間になり,増えたコストが製品価格にも跳ね返りかねないという。あるメーカーではWIAについては静観する構えで,当分はTWAINドライバの開発を続けていく方針だとしている。

 スキャナメーカーの評判は今ひとつのWIAだが,「比較的お手軽な機能を求める北米市場を中心に受け入れられるのでは」と見る関係者もいる。また取り込み時に設定がほとんど必要のないデジタルカメラでは「ほとんどのメーカーがWIAに賛同している」(マイクロソフト)という。確かにどんなイメージング機器であれ,接続すればOS上で画像を管理できる点は,特に初心者にとっては便利だろう。スキャナでは,ローエンドはWIAで,ハイエンドはTWAINで,と二極分化していく可能性もありそうだ。

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[小林伸也, ITmedia]

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