News 2000年9月19日 09:43 PM 更新

トップベンダーとしての自負とは?──米Intel副社長兼ディレクター,Anand Chandrasekher氏インタビュー

 東京赤坂のホテル・ニューオータニで開催中の「Intel Developer Forum 2000 Fall Japan」。2日目となる19日には,基調講演のスピーカーでもある米Intel副社長兼ディレクター,Anand Chandrasekher氏にインタビューする機会を得た。Chandrasekher氏はインテルアーキテクチャグループに所属し,モバイルやデスクトップ,サーバなど,すべての分野を見渡してマーケティングを行う立場にある。いくつかのテーマに分けて,Chandrasekher氏に話を聞いた。

Pentium 4マシンの価格は高くない?

ZDNN 初期のPentium 4プラットフォームは,冷却システム,チップセット,マザーボード,メモリなど,あらゆる面で高価なものになりそうに思いますが,価格面での見通しはどのようになっているのでしょう。

Chandrasekher まだ出荷されていない製品ですから,現在はメーカーの動向から推測するほかありません。しかし,おそらく米国では2200ドルから2500ドルぐらいのレンジでPentium 4プロセッサのシステムが発売されるでしょう。このプライスレンジは,従来のハイエンドPentium IIIが登場する時と全く同じものです。したがって,Pentium 4システムの価格が高いと考えるのは早計だと思います。

ZDNN メモリ戦略のアップデートはありますか? 一部にはPentium 4システムにおける,SDRAMとRDRAMの差額をインテルがメーカーにキャッシュバックするという話もあります。(注:キャッシュバックについてはOEMベンダー経由で話が漏れており,情報筋によると,このプログラムには既にゴーサインが出ているという噂。9月11日の記事を参照

Chandrasekher キャッシュバックに関してはノーコメントとさせていただきます。またメモリ戦略に関しては,先日のIDF Fallでアップデートした内容から変化はしていません。今後もわれわれはRDRAMを最高の性能が発揮できるハイエンドのメモリとして位置付けていますし,来年にはSDRAMを採用したチップセットを普及価格帯に向けてリリースします。また,新しいメモリアーキテクチャ(DDR SDRAM)についても評価を行っている段階です。

ZDNN RDRAMが来年以降もハイエンドに留まるとすれば,RDRAM価格の下げ圧力は一向に高まらないのではないでしょうか?

Chandrasekher もちろん,ハイエンド市場だけの採用では価格は下がらないでしょう。そのために,別のメモリアーキテクチャ(DDR SDRAM)について評価を行っているわけです。ただ,この数カ月だけでもRDRAMとSDRAMの価格差は小さくなっています。ずっと将来まで,今と同じ状況になるわけではないでしょう。インテルとしても,価格低下のトレンドを注意深く見守っていますが,これは市場状況やメモリベンダーの戦略にも左右されることですから,われわれはそうした状況に合わせて戦略を練ることになります。

インテルは低消費電力でもトップベンダーの自負がある

ZDNN  モバイルプロセッサについて教えてください。インテルはフォームファクタのサイズでセグメント化しているのに,製品は平均消費電力でセグメント化しています。例えば,フルサイズPCは平均2ワット以下,サブノートPCは平均1ワット以下といったプレゼンテーションをみかけます。しかし,フォームファクタのサイズは熱設計電力(TDP)によって影響されるわけで,こうした製品ラインの組み方には間違いがあるのではないでしょうか?

Chandrasekher サイズによってセグメント化する手法は,われわれが編み出したものではなく,市場とPCベンダーが決めてきたものです。また,われわれが平均消費電力で話をするのは,エンドユーザーにとって重要な,すなわちバッテリー寿命に影響する値が平均消費電力だからです。TDPはシステム設計を行う上で重要な数字ですが,これはエンドユーザーにはあまり関係ありません。TDPはシステムデザインを行う人が分かっていればいいでしょう。

ZDNN しかし,日本のPCベンダーは低TDPプロセッサがあれば,単にサイズが小さいだけではなく,さまざまな使い方の提案を行う新しいタイプの製品を開発できると話しています。こうしたことは,PCの進化を促す上でも,エンドユーザー体験の面から見ても重要ではないでしょうか?

Chandrasekher つまりは,ユーザーが何を求めているかによると思います。パフォーマンスが十分であると感じるなら,より低消費電力を求めるでしょう。一方,低消費電力を求めないユーザーにとっては,パフォーマンスが優先されるべきです。われわれは世界中でマーケティング調査を行い,多くのユーザーがパフォーマンスを求めているという結果を得ています。個人的には移動することが多いため,消費電力の低減を優先させたいと思いますが,市場全体の動向は異なっているのです。

ZDNN とはいえ,インテル製プロセッサのTDPは上昇の一途を辿っていますが……。

Chandrasekher 低TDPプロセッサはOEMの要求があって,過去にも何度か製品をリリースしたことがあります(低電圧版モバイルPentium II/233MHzなど)。しかし,それらの製品はOEMベンダーの要求があって作ったものの,実際にはほとんど採用されなかったという過去があります。そして今日,再度,OEMベンダーからの強い要望で低電圧版のモバイルPentium IIIを製品化しています。われわれは低消費電力化のテクノロジーにおいても,トップクラスのベンダーであると自負しています。

P2Pが市場のどの分野にインパクトを与えるかを考えるには早計だ

ZDNN  インテルはPeer-to-Peer(P2P)イニシアティブの発表を行いました。世間ではプロセッサ利用率の引き上げを行うことで,インテルがプロセッサの空き時間を価値あるものにしようとしていると言っていますが,むしろ帯域幅への投資が加速されることの方が大きな意味を持ちませんか?

Chandrasekher P2Pに関して何らかの具体的な評価を行うには,まだ時期が早すぎるでしょう。ビジネスやコンシューマーへの利用を促す時期であり,それによってもたらされる変化は,まだ先にあります。Napsterは1つの例を示しているに過ぎず,可能性はまだまだほかにもあるわけです。今は,その最初のきっかけを掴んだに過ぎません。ビジネスへの応用でも,Napsterと同様の著作権やプライバシーに関する問題が出る可能性もあり,セキュリティやルール作りなど,まだまだ多くのことを検討しなければなりません。しかし,その先に大きな可能性があることは間違いないでしょう。時間をかけて改良したり,P2Pをもとにした新しいアイデアが,想像もできないようなアプリケーションを生み出していくはずです。

[聞き手:本田雅一, ITmedia]

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