News 2000年9月27日 09:15 PM 更新

NTTドコモとAOL,携帯ネットサービスでの提携を正式発表

NTTドコモとAOLが提携を正式に発表した。ドコモはAOLの豊富なサービスを活用し,iモードの世界進出を加速させる。

 NTTドコモとAmerica Online(AOL)は9月27日,携帯電話によるインターネット接続サービスで提携すると発表した。ドコモのiモードとAOLの豊富なコンテンツを融合させた新しいネットサービスを共同で開発し,ドコモのiモード端末でAOLのメールやインスタントメッセンジャーなどを利用できるようする。新サービスは今年12月にも国内でスタートさせ,その後世界に広げてiモードnの海外展開を図っていく。


提携で握手するドコモ立川社長(中央)とAOL InternationalのLynton社長,三井物産の島田精一副社長

 両社の提携は,約3000万人の加入者を誇るドコモの移動通信網と,世界トップの2400万人ユーザーを擁するAOLの固定通信網サービスの融合(Fixed Mobile Convergence:FMC)によるインターネットサービスを共同開発するのが目的だ。ドコモはAOLを優先プロバイダとして位置付け,iモードとAOLのサービスとの連携を図っていく。

 新サービスのイメージとして挙げられたのは,

  • ドコモのiモードメールサーバとAOLのメールサーバを接続。iモードメールを自動的にAOLのメールサーバに転送し,iモードでは自動的に消去されてしまう長文メールや添付ファイルをPCで読むことができる。またAOLへのメール着信をiモードでチェックできる。
  • AOLのオークションサービスをiモードで利用する。売り手は携帯電話でビッド件数を確認したり,売値の変更が可能。買い手はビッドの状況をどこでも確認でき,競り落とすまでPCの前に座っている必要がなくなる。


    AOLメールとiモードメール連携のイメージ

    といったもの。またAOLの売りであるAOLメッセンジャーをiモード端末上に移植することも考えているという。

     サービス開始は,両社間ですべての契約締結が完了する今年12月以降を予定。国内でまず新サービスを軌道に乗せてから,AOLが拠点を持つ米国や欧州,南米などに提供していく。iモードの世界展開にあたり,ドコモは各国の移動体通信事業者と提携戦略を加速させる考え。

    事実上の子会社化

     新サービス実現にあたり,両社間で「戦略運営委員会」を設置。その下にアプリケーションと技術の2分科会を設置し,開発と事業展開について緊密にしていく。また共同でファンドを設け,モバイル関連技術を持つベンチャー企業に対し出資する予定もある。

     AOLジャパンには現在,AOLと三井物産,日本経済新聞社が出資しているが,ドコモは約103億円で3社から全株式の42.3%を買い取り,筆頭株主となる。AOLジャパンにはドコモが派遣したCEOが就任し,事実上ドコモの子会社化する。AOLジャパンは,近く総額約110億円の増資を実施する予定で,ドコモの追加出資額は約57億円に上る見込み。AOL本体に対する出資計画は現時点ではないとしている。

     都内で開かれた記者会見で,ドコモの立川敬二社長は「ドコモが進めるモバイルマルチメディアの世界展開に当たっては,移動通信網と固定通信網の融合が重要になる。AOLとの提携はその1つの解」と提携の理由について述べた。

     AOL InternationalのMichael Lynton社長は「ドコモは単一市場における加入者数では世界トップのもっとも価値がある事業者だ。場所も時も選ばないネットサービスは“AOL Anywhere”戦略にとっても重要だ」と語り,AOLのモバイル戦略のパートナーとしてドコモが最適だったと説明した。

     今回の提携は,iモードを武器に世界進出を狙うドコモと,固定網に加えモバイルネットサービスでもトップをうかがうAOLの思惑が一致して実現した。立川社長は「iモード端末をニューヨークに持っていってもそのまま利用でき,英語コンテンツも閲覧できる」というビジョンを示した。ただiモードの普及には国外キャリアとの提携が不可欠だ。立川社長は「オランダや香港のキャリアには既に出資しており,米国でもアライアンスは必要。ただし将来的にW-CDMAを採用するという前提がある。資本提携は必ずしも必要ないだろう」と述べ,W-CDMA開始をにらみながら柔軟に提携戦略を進める考えを示した。

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    [小林伸也, ITmedia]

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