News 2000年10月2日 11:59 PM 更新

データ復元ツール「FINALDATA」,次の一手

HDDをフォーマットしてもデータを復元できるアルファオメガソフトの「FINALDATA」。同社は,この技術を使ってオンラインサービスの拡大を図る。

 ウイルス感染やアプリケーションの異常書き込みによるデータの損失,あるいは誤操作でHDDをフォーマットしてしまった……。アルファオメガソフトの「FINALDATA」は,こうしたケースでもデータを復元できるソフトだ。同社は現在,FINALDATAの技術を使ってパッケージソフトとデータ復元サービスを展開しているが,これをさらに,個人や企業に特化した形で拡大する計画。また,10月にはUNIX対応版の提供も予定している。

 FINALDATAの開発元は,韓国のFINALDATA INC.。昨年,2000年問題対策としてデータリカバリ手段を探していたアルファオメガソフトがコンタクトして以来,両社はサービス事業への展開や企業向けソリューションの構築など,共同開発に近い形で製品化を進めてきた。今年1月にパッケージソフトとして「FINALDATAスタンダード版」「同エンタープライズ版」を発売したのを手始めに,2月には店頭でのデータ復元サービス「D@TA119」を開始,4月からは@niftyの「eClinic」でスタンダード版のダウンロード販売も始めている。さらに9月には,リモート環境でデータの復元作業が行える「SystemWalker/FINALDATA」をラインアップに加え,富士通ブランドで企業向けに発売した。

 来日したFINALDATAの開発者,Jeff Kim氏は,「ディレクトリエントリやパーテションが失われたときでも,位置情報がなくなっただけであり,データ本体は残っている。(FINALDATAは)残されたディレクトリエントリをサーチして位置情報を復元する」と説明する。また,スタンダード版ではここまでだが,上位バージョンの「エンタープライズ版」では位置情報のデータベースを搭載しており,これを割り当てることで「残っているのがデータ本体だけでも復元可能だ」(Kim氏)。さらに,最上位バージョンの「プロ版」では,断片化したファイルの復元にも対応。D@TA119サービスでもプロ版を使用している。ただし,物理フォーマットや必要なデータに別のデータが上書きされているケースでは,いずれのバージョンでも復元できない。


FINALDATAでディスクをスキャンした画面。エクスプローラ形式のUIを採用している

1回分で課金も

 アルファオメガソフトのリスクテクノロジー&ECコンサルティング事業部開発部の柳本英之部長代理によると,急増するデータセンターでの需要を踏まえ,FINALDATAのUNIX対応版を順次投入する予定だという。「10月にSolaris版とLinux版を提供するほか,順次HP-UX版,AIX版を発売する」(柳本氏)。また,Kim氏によると「Mac OSのHFS(ファイルシステム)も解析中だ。まだ復元できないケースもあるが,実現可能な範囲だと考えている」という。

 サービス面では,個人に向けたサービスを強化する。通常なら,データの復元など年に何回もあることではないが,今までは,そのためにパッケージを買わなければならなかった。これを年内には,1回分の使用権が付いたActive Xコントロールとして,eClinicからダウンロードできるようにするという。「1回ごとに課金できるため,コンシューマーや企業内個人でも気軽に利用できるようになるだろう」(柳本氏)。


FINALDATAの開発者であるJeff Kim氏(左)とアルファオメガソフトの柳本英之部長代理(右)

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▼ アルファオメガソフト

[芹澤隆徳, ITmedia]

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