News 2000年10月5日 08:38 PM 更新

日本HPが初の個人向けPCを発表――ターゲットはこだわり派

日本HPが,国内で販売する初の個人向けデスクトップPC「pavillion 2000」シリーズを発表した。日本市場専用のスタイリッシュなデザインをアピールするHPだが,「ただデザインに凝っただけ」という声も。

クールなデザインの「pavillion」

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は10月5日,個人ユーザー向けデスクトップPC「pavillion」シリーズ3機種を発表した。同社は,今年6月にソフトバンクと組んで国内のホームPC市場に参入することを表明(6月5日の記事参照)。大手PCメーカーとしては最後発となる日本HPだが,寺澤正雄社長は,「今さらという指摘もあるが,pavillionは,初年度20万台,5%のシェアを獲得する」と意気込みを語った。

 米Hewlett-Packardは,米国の個人市場で30%のシェアを獲得した実績を持ちながら,サポート体制や市場特性の違いから日本市場へのpavillion投入を躊躇していた。今回,参入を決意したのは,日本でもインターネットが普及し,コンシューマー向け製品をトータルに提供する必要性が生じたためだという。HPは,インターネットを通じてさまざまなサービスを提供する「E-service」戦略を推進しており,pavillionを,サービスを利用する側の端末として位置付けている。

まずは首都圏限定でスタート

 国内の個人市場への参入を唱え続けてきたという日本HP執行役員でコンシューマー事業統括部長を務める小仲浩一郎氏は,pavillionについて,「米国とは全く別物。日本市場に特化したデザインを採用し,かつ,販売戦略も練りに練った」と話す。

 今回登場したpavillion 2000シリーズ3機種は,いずれも省スペース型。米国ではタワー/マイクロタワー型のきょう体を採用しているが,日本市場向けに新たにデザインしたという。PCとしての性能は凡庸だが,コンパクトでスタイリッシュなデザインと,交換可能なカラーパーツを用意しているあたりは,日本人好みかもしれない。ディスプレイもきょう体のデザインに合わせている。ボディーカラーは,「Moonlight Metallic Blue」と「Deep Metallic Blue」の2種類。

 ラインアップは,Celeron/600MHzとCD-ROMを搭載するエントリーモデルの「pavillion 2100」,Celeron/677MHzとDVD+CD-R/RWコンボドライブという組み合わせの「pavillion 2130」,ならびにPentium III/800MHzとコンボドライブを搭載する最上位機種「pavillion 2150」。いずれも,ディスプレイを付属している(仕様の詳細は記事最後に記載)。価格はオープンプライスだが,店頭予想価格は,エントリーモデルが10万円前後,ハイエンドモデルが30万円前後。


前面と背面にそれぞれUSB×2を装備。IEEE 1394インタフェースも。前面のインタフェース部分は,カバーで隠すことができる

 また,販売チャネルは,インターネットによるダイレクト販売と,店頭の2通りを予定。インターネットについては,ソフトバンクとHPが合弁で設立したイーセレクトが運営する直販サイト「hpeselect」(www.hpeselect.com)で取り扱う。イーセレクトの資本金は3億円で,ソフトバンクが51%,HPが49%出資している。なお,イーセレクトはHPの公式ショッピングサイトという位置付けにあり,pavillion以外にも同社の個人・SOHO向けのPCやプリンタなどを販売する。

 一方,店頭ルートについては,まず,首都圏(東京,神奈川,千葉,埼玉)の大手量販店4社約40店舗(ビッグパソコン館,ヨドバシカメラ,ラオックス, CSK,エレクトロニクス)に限定。四半期ごとに段階的に地域を拡大し,1年後には全国をカバーする予定だという。なお,hpeselectでは10月13日より,店頭では10月14日よりpavillionの販売を開始する。

 「個人向けには,deskjetというプリンタを販売しているが,プリンタが1年サイクルの事業なのに対し,PCは3カ月単位。このペースでやっていくシステムを構築できるかが鍵となる」(同氏)

 さらにHPでは,首都圏に限定してTVCMや交通広告を集中的に投下。プロモーション費用は非公開だが,「ほかのどのPCメーカーよりも,露出度は高くなるはず」(小仲氏)と言うように,過去最大規模の宣伝活動になるもようだ。そのほか,「deskjet900シリーズを同時に購入すると,pavillionと同色のプリンタトップカバーをプレゼントするキャンペーンなども展開する予定だ。

デザインだけでも

 pavillion 2000のデザインはスタイリッシュだが,一部では「ただデザインに凝っただけ」という指摘もある。確かに,スペック面で特筆すべきことはないが,デザインは購入動機の中でも重要な位置を占める。最近の例で言えば,NTTドコモのWindows CEマシン「sigmarion」が売れ行き好調だ(9月29日の記事参照)。sigmarionは,ゼロハリバートンがデザインしたという点を除けば,ほかに特徴的なものはない。

 「pavillionのターゲット層は,国内大手PCメーカーの製品はみんなが使っているから敬遠し,安いだけのPCはお洒落じゃないからイヤだとこだわりを持っている20〜30歳代のユーザー。こうした人たちが,20%はいるはず」(小仲氏)。この目論見が正しいかどうか,pavillionの売れ行きが気になるところだ。

 仕様の詳細は以下の通り。

モデル pavillion 2100 pavillion 2130 pavillion 2150
CPU Celeron
/600MHz
Celeron
/667MHz
Pentium III
/800MHz
メモリ 64Mバイト 128Mバイト
HDD 20Gバイト 30Gバイト
ドライブ CD-ROM(最大48倍速) CD-R/RW(4/4/24倍速)+DVD-ROM(最大4倍速)コンボ
モデム 56Kbps
OS Windows Me
ディスプレイ 15型CRTまたは15型TFT液晶 15型TFT液晶
価格 オープンプライス

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[中村琢磨, ITmedia]

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