News 2000年10月11日 07:38 PM 更新

ジャスト,一太郎と花子,ATOKの最新版を発表──ネットでファイルや辞書を共有

ジャストシステムは,「一太郎11」「花子11」「ATOK14」を発表した。ユーザーには無料ディスクスペースが与えられ,文書を複数の端末で共有できるなど,ネットへの対応を強化した。

 ジャストシステムは10月11日,ワープロソフト「一太郎11」,統合グラフィックソフト「花子11」,日本語変換ソフト「ATOK14」を2001年2月に発売すると発表した。一太郎と花子のユーザーには,ネット上に50Mバイトのディスクスペースを無料で提供し,複数のPCでデータを共有できるようにした。ATOKでは,サーバ上に置かれた各種辞書・辞典を参照できる機能や,ネットを経由して複数のパソコンで辞書を同期できるサービスを追加。インターネットとの連携を強化している。対応OSは3製品とも,Windows 95/98/Me/NT 4.0/2000。

罫線機能が向上した「一太郎11」

 新バージョンの目玉はインターネット連携機能の強化だ。新サービス「インターネットディスク」(仮称)では,ユーザーに提供されたディスクスペースに,一太郎や花子で作成したデータなどを保存できる。会社で作成した文書を自宅で開くなど,複数の端末間でのデータの共有が容易になりそうだ。転送プロトコルはFTPを利用し,サービスは一太郎のファイルメニューからシームレスに利用できる。今後は,Palmや携帯電話など,PC以外の端末でも文書を閲覧しやすいように文書を変換するサービスも予定している。

 新規機能としては,画面に各種情報を表示する「ナレッジウインドウ」機能を搭載。これは,カーソルを合わせた位置の単語の意味を表示する「Dictionary」,状況に応じたショートカットキーの一覧を表示する「Shortcut Key」,タイマー機能付きのメモなど,文書作成に役立つ情報を独立した別のウインドウに常に表示してくれるというもの。また罫線機能に改良が施され,罫線内インデントの設定や,ワンキーでの線種変更,CSV形式のテキストを一括して罫線表に変換するといった新機能が追加された。

 このほか,ヘビーユーザー向けに,すべての操作をキーボードで行えるようにした「プロフェッショナル画面」を用意。また複数の用紙を貼り合わせて垂れ幕を制作できる「垂れ幕印刷」,デジタルカメラやスキャナから画像をダイレクトに取り込める機能,マイクロソフトの「Word」文書との互換性の向上など,合計約200項目にわたる機能強化が行われた。

 一太郎11には,ATOK14が同梱される。2001年2月上旬の発売で,価格は2万円。

Tips集の収録で操作性が向上した「花子11」

 花子11では一太郎11と同様,ユーザーにディスクスペースが提供される。両ソフトのユーザーの場合は100Mバイトを無料で利用できることになる。Webページ作成に役立つグラフィック素材のダウンロードサービスも予定しているという。

 グラフィック関連の新機能では,簡単な地図やGIFアニメ,数式入力による関数グラフの作成機能が加わった。また文字をベジェ図形として扱える「文字アウトライン作成」機能を搭載し,会社のロゴやホームページのオリジナルタイトル作りに威力を発揮する。

 さらに操作性の向上を図り,描き方のコツや技術をユーザーのレベルや目的ごとに指南してくれる,約300項目のTips集と約40項目のテクニック集を収録した。また頻繁に使用する図形を「クリップウインドウ」に収納しておくことで,図形の呼び出しが一発で行えるようにした。

 発売は2001年2月上旬。価格は1万2000円。

ネット経由で辞書を利用・共有できる「ATOK14」

 ATOK14は,会社名などの単語を入力することで直接Webサイトにアクセスできる「ATOK Direct」機能(7月27日の記事参照)にネイティブで対応した。またネット上で公開されている百科事典や各種辞書をATOKから直接検索できる「ATOK Library」,ユーザー辞書や環境設定ファイルをネットに置いて複数の端末で共有,更新内容も同期できる「ATOK Sync」機能も利用できる。さらに,文書から自動的に辞書未登録単語を拾い出して登録する「AI辞書トレーナー」では,受信メールやWebページからの登録も可能になった。

 変換機能面では,変換エンジンの改良で文節区切りや同音語変換の精度を向上させた上,校正支援機能「JUST MEDDLER 4」では二重敬語や「さ抜き表現」も指摘するようになった。従来の「郵便番号」「フェイスマーク」「カタカナ英語」の3辞書に加え,専門用語辞書として「コンピュータ・インターネット用語」「経済・ビジネス用語」「トレンド」「人名」「マイペディア99テキスト版」を追加。「ベルファーレでプリウスに乗った宇多田ヒカルを見た」といった文章も一発変換できるようになっているという。

 ATOK14は一太郎11に同梱されるほか,単体パッケージとして2001年2月下旬に発売される。価格は9800円。正式発表はされなかったが,Macintosh版も同時期にリリースする予定としている。

「ネットを徹底的に活用するソフトを」

 都内で開かれた発表会で,ジャストシステムの福良伴昭常務は新製品について,「21世紀最初の製品にふさわしい,ネット環境を快適にする提案だ。今後もネットに視野を広げ,ネットを徹底的に活用できる製品を提供していく」と語り,製品のネット対応を強化していく方針を強調。発売開始から1年間の販売目標は,一太郎11が100万本,花子11が20万本,ATOK14が50万本とした。

 無料ディスクスペースについては,「セキュリティ対策は万全。ローカルに置くよりも安全だ」(福良常務)。無料提供分を超えた分は有料でスペースを提供していく考えだが,料金体系は未定としている。同社は個人向けASPサービスを既に開始しており(6月5日の記事参照),無料スペースの提供ではASPサービスのインフラやノウハウを生かす。

 なお,3製品は「WORLD PC EXPO 2000」(10月17〜21日,東京ビッグサイト)に出展される。

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[小林伸也, ITmedia]

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