News 2000年10月12日 05:24 PM 更新

目指せポケモン,ソニーが新型AIBOを発表

ソニーが,ライオンをモチーフにしたという「AIBO」のニューモデルを発表。同社は今後,エンターテインメントロボットビジネスを本格的に展開する。

新型AIBO(黒)と旧型AIBOが対面

新型AIBOを笑顔で抱くソニー会長兼CEOの出井氏

 ソニーは10月10日,自律型エンターテインメントロボット「AIBO」のニューモデルとして,コミュニケーション機能を強化した「ERS-210」を発表した。ソニーの出井伸之会長兼CEO(最高経営責任者)は,ERS-210の投入により,「エンターテインメントロボットビジネスを本格的に始動する」と意気込む。

 当初5000台限定で出荷された先代の「ERS-110」は,販売開始から20分で売り切れるなど,ちょっとした社会現象にもなったが,ERS-210では,初期出荷から数量制限を設けず,購入希望者には受注生産で対応。月間6万体の生産体制を敷く。申し込みは,インターネット/電話を通じて11月16日より開始。出荷は12月上旬の予定だ。なお,ERS-210は通信販売だけでなく,一部の百貨店やソニープラザなどでも取り扱う。

頭脳はメモリースティックに

 ERS-210の特徴は,価格を大幅に引き下げていることと,「犬型」ではなくなっている点だ。まず,価格については,希望小売価格を15万円に設定。ERS-110よりも10万円安くなっているが,これは,本体のみを購入しても遊ぶことができないため。ERS-210とコミュニケーションを図るには,頭脳部分として機能するAIBO専用のメモリースティックアプリケーション「AIBO-ware」が必要になる。また,ERS-110に標準で同梱されていた「エナジーステーション」も別売り(1万7000円)となった。

 AIBO-wareには,「AIBOライフ」(9000円),「ハローAIBO!タイプA」(8000円),「パーティマスコット」(9000円)の3種類がある。AIBOライフは,基本的な動作に必要なアプリケーションで,学習機能のほか,音声認識機能を搭載する。成長段階や学習状況に応じて最大50種類の言葉を認識でき,本物のペットのように,名前を呼ぶとAIBOが反応するという。一方,ハローAIBO!タイプAのAIBOは,社交的で活発に育ったパターン。パーティマスコットのAIBOは,その名の通りパーティで小道具として楽しめるように,じゃんけんやゲームができるようにしつけられているという。

モチーフはライオン


「モチーフは犬でもネコでも猿でもかまわない。AIBOはAIBOだ」(ソニー)

 デザイン面での大きな特徴は,子供のライオンをモチーフにしている点だ。そもそもソニーでは,AIBOを「4本足のペット型ロボット」と説明しており,「犬型」とは表現していない。ただ,一般的にはAIBOは犬だと思われており,「そうした認識を払拭すべく,ネコ科のライオンを選択した」(ソニー)と言うのだが,あえて子猫にしなかったのは何かこだわりがあるのだろうか。なお,ボディカラーには,「ゴールド」「シルバー」「ブラック」の3色が用意されている。

 ライオンになったことで,ERS-210では,耳と尻尾のデザインを大幅に変更。耳は可動式で,自由度(総可動部分)が18から20に増えた。さらに,LEDランプ(頭部4種類,尻尾2種類),およびタッチセンサー(頭部,顎部,背中)の数も増えている。また,本体にはPCカードスロットを実装。別売りのAIBO専用ワイヤレスLANカード(IEEE 802.11b準拠,2万円)を装着すれば,PC用ソフトウェア「AIBOマスタースタジオ」(5万円)で作成した行動プログラムをAIBOに送信することが可能だ。


今回もピンクのカラーボールが付属

 さらに,ERS-210は頭部に1/6型CMOSセンサーを装備し,撮影の指示を出すと,AIBOの視点から見える風景がメモリースティックに記録される。撮影した画像をPCで見るには,専用ソフト「AIBOファンパック」(1万円)が必要。ただ,AIBOが見ている映像を無線で伝送して,PCでリアルタイムに確認することはできないという。

モデルはピカチュウビジネス

 ソニーは今年8月,エンターテインメントロボットビジネスを担当していたER事業室を,独立した社内カンパニーの「エンターテインメントロボットカンパニー」(ERC)に変更するなど,同ビジネスの本格的な立ち上げを目指している。

 ERCのプレジデントである天貝佐登史氏は,エンターテインメントロボットビジネスの展望について,「ウォークマンのように,ソニー主導のもと市場が形成されていく。似たような製品はいくつかあるが,真に競合するようなものはない」とコメント。今後は,AIBOの新型を投入するというよりも,アクセサリーなどの関連グッズの展開に注力するとした。「AIBOのビジネスモデルは,関連ビジネスで大成功したポケモンが1つの手本となる」(同氏)

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[中村琢磨, ITmedia]

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