News:詳報 2000年10月16日 08:04 PM 更新

詳報:ハンドスプリング,カラー液晶搭載モデルなど「Visor」新機種2製品を発表

ハンドスプリングの「Visor」新製品は,カラー液晶モデル「Prism」と高速CPUを搭載した「Platinum」の2製品だ。

 ハンドスプリングは10月16日,Palm OS搭載PDA「Visor」の新製品として,カラー液晶ディスプレイを搭載した「Visor Prism」と,高速なCPUを搭載したモノクロ液晶モデル「Visor Platinum」を発表した。両機種とも最新のPalm OS 3.5.2Hを搭載,ジャストシステムの日本語入力ソフト「ATOK Pocket」が標準バンドルされる。発売は12月,価格は,Visor Prismが4万9800円,Visor Platinumが3万4800円。

 両機種ともPalm OSの最新バージョンを搭載したことで,赤外線ポートを利用したHotSyncにOSレベルで対応。またスケジュール管理の「予定表+」では,当日の予定に加えてToDoリストを同時に表示できるようになったほか,「プライベート」カテゴリーに設定した予定やToDo,メモ帳,アドレスにはマスクをかけて,パスワードを入力しない限り他人に見られなくする機能も加わっている。なお,Palm OS 3.5.2Hの“H”はハンドスプリング製品向けという意味。

 Visor Prismは,Palm OS搭載機としては初めて16ビットカラー(6万5536色)の表示が可能なTFTカラー液晶ディスプレイを搭載した。CPUはDragonball VZ/33MHz。「City Time」など各種の標準ソフトがカラー化されているほか,カラーの静止画や動画を十分な階調で楽しむことができる。ボディカラーはコバルトブルーのみ。

 カラーLCDパネルを搭載したことから,電源は内蔵型リチウムイオン充電池を採用した。クレードルにセットすることで充電も行え,一度の充電で約半月の利用が可能という。

 Visor Platinumは,6月に国内発売された「Visor Deluxe」の上位バージョン。OSが最新バージョンにアップデートされている上,CPUはVisor DeluxeのDragonball EZ/16MHzから,Visor Prismと同じDragonball VZ/33MHzにアップグレードされた。ボディカラーはメタリック・シルバーのみ。

 その他のハードウェア仕様はVisor Deluxeと同じだが,同じ16階調表示のモノクロディスプレイながら,よりなめらかなで鮮明に階調が表現されているという。CPUの動作クロックは向上しているが,バッテリーは単4アルカリ乾電池で2カ月間持続。Visor Deluxeと変わらないという。


Visor Deluxe(左)とPlatinumの階調表現の違い。「FunMail」のロゴの周囲のスプラッシュがDeluxeでは出ていない

 両機種とも,付属CD-ROMにATOK Pocketが収録されている点が見逃せない。Palm OS版のATOK Pocketはバンドル版のみのリリースとなっており,ソニーの「Clie」かパームコンピューティングの外部キーボード「Palm Computing ポータブルキーボード」(10月下旬発売)を購入することでしか入手できないのが現状。ハンドスプリングでは「ATOKのバンドルにより,単語入力の段階から文章入力に進んだ」としている。また付属CD-ROMには「Palmscape 3.0」「Palmscape Mail 1.0」も収録されている。

 両機種とも,11月中旬に同社サイトで先行予約の受付を開始。また10月20日をめどにメールニュース配信サービスの申込みページを設け,配信を11月初旬から開始する。

 またハンドスプリングは同時に,Visorに取り付けて使用する「GameFaceジョイスティック」も発表した。Visor各機種の表面にかぶせて利用するジョイスティックで,ボタンの設定が可能なPalm OS対応ゲームで利用できる。パッケージには,米Astrawaveのシューティング「Zap!2000」(カラー対応)が同梱される。Visor Deluxe/Platinum用が12月に発売,Visor Prism用が2001年春に発売を予定している。価格は未定。


「GameFaceジョイスティック」

 新製品は「WORLD PC EXPO 2000」(10月17〜21日,東京ビッグサイト)に出展される。また同社ブースでは,拡張スロット「スプリングボード」に対応したサードパーティ製モジュールも展示する。アイ・オー・データ機器の携帯電話/PHSアダプター「SnapConnect for VISOR」や,P-in Compa@ct対応コンパクトフラッシュアダプター「P-in(CF)Connector for Visor」などが出展される予定だ。

 主な仕様は以下の通り

製品名 Visor Prism Visor Platinum
CPU Dragonball VZ/33MHz
OS Palm OS 3.5.2H
ディスプレイ 透過型カラーTFT液晶(6万5536色,160×160ピクセル,バックライト付き) モノクロ液晶(16階調,160×160ピクセル,バックライト付き)
インタフェース USB/シリアル(クレードル経由),赤外線,スプリングボード
電源(持続時間) 内蔵型リチウムイオン充電池(連続使用時は6時間,通常使用時は約半月間) 単4乾電池(約2カ月)
対応OS Windows 95/98/Me/NT 4.0/2000,Mac OS 8.1以降
サイズ 122(縦)×76(横)×20ミリ(厚さ) 122(縦)×76(横)×18ミリ(厚さ)
重量 196グラム 153グラム
価格 4万9800円 3万4800円

“Palmの父”Jeff Hawkinsが来日


Handspring会長兼CPOのJeff Hawkins氏

 新製品発表会は都内で開かれた。米Palm Computing(現在のPalm)とHandspringを設立し,現在はHandspring会長兼CPO(Chief Product Officer)を務める“Palmの生みの親”ことJeff Hawkins氏が登場。Hawkins氏はPalmの未来について,「これからはネットワークの時代。ネットワークに接続された時,新しいアプリケーションが続々と誕生するだろう。ワイヤレス技術によって,ハンドヘルド機器はPCに代わって主流になる」と予言する」。

 米国ではスプリングボードに装着するGSM携帯電話モジュール「Visor Phone」を11月に発売する予定だが(9月20日の記事参照),日本国内での方針については触れられなかった。通信規格と端末販売の形態の違いがあるため,国内販売は難しそうだ。

 またハンドスプリングの小見山茂樹社長は,「昨年9月の時点ではPalm OS機の国内シェアは16%だったが,今年9月では72%にまで成長した。パームコンピューティングやハンドスプリングの上陸で“黒船襲来”“CEとザウルスの三つどもえの戦い”などと評されたが,結果はこうなった」と自信を見せた。

 現在,Visorの取り扱い店舗は150店だが,「これまで付き合いがなかった販売店からも引き合いがある」(小見山社長)として,年内に倍の300店舗にまで増やす計画だ。

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[小林伸也, ITmedia]

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