News 2000年10月16日 10:26 PM 更新

写真で見るバイオQR──「パイプの継ぎ目なしに曲線を出すのが難しかった」

ソニーの「バイオQR」は,持ち運ぶスタイルを重視したコンセプト商品。本体裏側にまでデザインへのこだわりが隠れている。

 ソニーの新製品「バイオQR」は,「どこでも誰にでも似合うバイオ」を目指したコンセプト商品だ。取っ手付きのつややかな本体は,「持ち運ぶ楽しみを追求する」という同社の考え方に基づく。バイオQRの詳細を写真を中心に紹介しよう。


光の加減で実は青色系だということが分かる。傷が付いたら相当悔しくなるに違いない

 ポリカーボネイト製の本体カバーは,「サングラスのようなつや」(同社)出し,かつ傷が付きにくいように特殊なコーティングを施した。一見するとブラックに見えるが,実はブルー系色。


こうして取っ手を持って持ち運ぶ

 ディスプレイカバー周囲のシルバーのパイプは何気なくめぐらされているように見えるが,「継ぎ目なしにコーナーの曲線を出すのが大変で,水道工事業者からモニュメント制作職人にまで相談した」(同社)という苦心作だ。


取っ手は,PC利用時にはチルトスタンドとして利用できる。従来のバイオノートと異なり,利用時にはディスプレイカバーの「VAIO」の浮き彫りが逆さまになる。これも「持ち運ぶ時にVAIOの文字を見せたいため」(同社)

 取っ手部分の強度は,同社がラジカセなどに適用している内規をクリアしたもの。持ち運びに十分な強度を確保するのに苦労し,内部はマグネシウムダイキャスト,ディスプレイカバーはアルミニウム製のインナーシャーシ構造を採用して切り抜けたという。


キートップと文字フォントととも,丸みを帯びた新デザイン。右手側にはジョグダイヤルと,Web閲覧時に便利なバックボタンを装備した

 本体カバーだけでなく,新デザインのキートップやスティック式のクリックボタンも摩擦が少ない素材を使用した。実際に打ってみても思ったほど違和感はなく,すべっとした感触が逆に新鮮だ。またFDDとマウス用に取り付けるカバーも付属するが,これは本体と同様のデザインを採用。カバーを取り付けた周辺機器をそろえることで,利用環境の統一感を高める仕掛けだ。


こだわりは裏側にも。取っ手と底面に取り付けられたゴム足は,犬や猫の肉球をイメージしたデザインでわざわざ製作したもの

 “モバイル”は現在のPC業界のキーワードだが,持ち運びの利便性には配慮しても,持ち運ぶスタイルまで視野に入れた製品は「iBook」以外には登場しなかった。スタイリッシュな金属外装で“銀パソ”ブームを巻き起こしたバイオノートだが,今度はそれを自ら破壊し,新しいコンセプトに基づく新しいデザインのノートPCを誕生させた。ユーザーがバイオQRを受け入れるかどうかは未知数だが,この柔軟さが快進撃を続けるソニーとバイオシリーズの強みだろう。

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[小林伸也, ITmedia]

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