News 2000年10月18日 11:57 PM 更新

3.5インチFDの容量を22倍にアップ──松下寿の「FD32MB」技術

松下寿電子工業は,3.5インチの2HD FDに32Mバイトのデータを書き込める新技術をWORLD PC EXPOに出展。

 松下寿電子工業は,10月16日に発表した,通常の3.5インチ2HDフロッピーディスク(FD)に,従来の22倍ものデータを記録できる新技術「FD32MB」を搭載したドライブを,「WORLD PC EXPO 2000」に参考出展した。


松下ブースに展示されたFD32MB対応FDD

 磁性体を高密度化した新メディアではなく,従来のメディアを用いて大容量化を実現できたのは,同社が力を入れるスーパーディスク技術のおかげだという。FD32MB技術の概略は以下の通り。

  • 1.44Mバイトの2HD FDは,ピッチ187.5μメートルのトラックを片面80本フォーマットする。新技術ではFD用ヘッドを用い,18.8μメートルずらしながら重ね書きしていく。これにより,トラック数は9倍の777本となる。読み取りにはスーパーディスクのヘッド(8μメートル)を利用する。
  • HDDで利用されているPRML(Partial Respose Maximum Likelihood,記録密度を2倍に高める技術。同社は米QuantumにHDDをOEM供給している)と,トラックの記録密度を円周上のどこでも一定にするZone Bit Recording技術を併用することで,容量を約3倍にした。

     この結果,合計27倍=38Mバイトとなるが,実際にはエラー訂正技術などが影響して22倍の32Mバイトになるという。


    Windowsの「マイコンピュータ」上で容量を表示させたところ。確かに約32Mバイトの容量がある
     参考出展された対応ドライブは外付けタイプ。FD32MBだけでなく,従来の2倍となる240Mバイトの容量のスーパーディスクにも対応し,240Mバイト/120Mバイトスーパーディスク,FD32MB/従来のFDと4種類のFDを読み書きできる。インタフェースはUSB。年内から年明けにかけて発売したいという。価格は「現行のスーパーディスクドライブよりは安くするよう価格設定を詰めている」(同社)としている。またFD32MBに対応した内蔵型ドライブを11月,OEM向けにサンプル出荷するとしている。

     まるで魔法のような技術だが,不便な点もある。FD32MBでフォーマットしたFDに書き込みを行うには専用のライティングソフトが必要となり,エクスプローラで直接書き込むことはできない(読み取りは可能)。CD-R/RWドライブ用のパケットライティングソフトの感覚で,今となっては手軽さが持ち味のFDとしては若干の面倒さは感じる。とはいえ,安価で簡単に入手できるFDをそのまま大容量化メディア(32Mバイトが大容量かどうか,今となっては意見が分かれるかもしれない)として利用できる点は便利といえそうだ。

    関連リンク
    ▼ 松下寿電子工業

    [小林伸也, ITmedia]

    Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.