News 2000年10月18日 11:59 PM 更新

毎秒1GバイトのPCIバスがコンシューマーPCにも

PCIバスの規格を策定しているPCI SIGは,WORLD PC EXPOに出展し,高速な次世代PCIバス規格「PCI-X」をPRしている。

 CPUと周辺機器のI/0インタフェースであるPCIバスは,現在のPCアーキテクチャにおいて完全に標準となっている。旧規格のISAバスを搭載したマザーボードも“レガシー”として減りつつあり,市場に出回っている拡張カードもPCIバス対応のものがほとんどだ。将来は,毎秒1Gバイトに達するデータ転送速度を持つPCIバスが,コンシューマー向けのPCでも一般的に採用されるようになるという。

 PCIバスの仕様を策定している業界団体である「PCI Special Interest Group」(PCI SIG)は「WORLD PC EXPO 2000」に出展し,PCIバスの新規格についてPRしている。

 PCI SIGは今年6月,次世代PCI規格の「PCI-X」を発表した。従来のPCIバスが33MHzで動作しているのに対し,これを拡張して66MHzか133MHzで駆動させる。32ビット版と64ビット版がサポートされ,64ビット版で133MHz駆動の場合,データ転送速度は最高で毎秒1Gバイトを超える。これは現在の「PCI Rev 2.2」の2倍となるスピードだ。

 来日したPCI SIGのエグゼクティブディレクター,Richard Baek氏によると,PCI-Xは,同時に発表された「PCI Hot-Plug revision 1.1」とともに,ギガビットイーサネットやSAN(Storage Area Network)用の高速シリアルインタフェースであるFibre Channel,Ultra 160 SCSIといった基幹業務系に使用されるサーバなどで採用される見通しで,2001年半ばには製品が登場するという。


Riechard Baek氏

 次世代サーバ用内部接続インタフェースでは,米Compaq Computerや米IBM,米Intelなどが「InfiniBand」の規格策定を進めている。Baek氏は「PCIはほとんどの技術者がアーキテクチャについて熟知している上,旧バージョンとの互換性も保たれている。PCI-Xへの移行も低コストで行える」と普及に自信を見せている。

 Baek氏は,PCI-Xがワークステーションを含むハイエンドPCにも浸透すると見ている。比較的長期的に見た場合,コンシューマー向けPCへもPCI-Xは普及していくという。「高品質な動画の編集など,マルチメディアの進化でコンシューマー向けにも高速なバスは必要になる」(Baek氏)。

 PCI SIGはPCの小型化に対応し,スリムなデスクトップPCで利用される「Low-Profile PCI」,ノートPC向けの「Mini PCI」と相次いで新規格を発表している。今後,チップの統合が進めばこうした物理スロットの規格の重要性は低くなっていく可能性もある。だがBaek氏は「PCI規格の策定がスタートした時点では,物理コネクタが存在しない純粋な内部インタフェースだった。今では“ノートPCにはPCIが使われていない”とよく誤解される」と苦笑する。その上でBaek氏は「PCIは内部接続インタフェースとして非常に優れている。PCIをベースとしたPCの成長と同様,PCIの発展も確実だ」と強調している。

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[小林伸也, ITmedia]

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