News 2000年10月20日 10:37 PM 更新

P2Pで想像以上の新アプリケーションが生まれる──IntelのGelsinger副社長

WORLD PC フォーラム 2000で基調講演したGelsinger氏は,P2Pネットが実現すれば全く新しいアプリやサービスが登場すると予言した。

 「WORLD PC フォーラム 2000」で10月19日,米Intelの副社長兼アーキテクチャ事業本部CTO,Pat Gelsinger氏が基調講演を行った。テーマは「新たなるフロンティア──Peer-to-Peer Computing」。Gelsinger氏は,「個々のPC同士を接続することでデータを交換/共有できるPeer to Peer(P2P)ネットワークが実現すれば,インターネットの発展がさらに加速され,想像もできないようなアプリケーションが誕生するだろう」とP2Pの革新性を訴えた。

 基調講演の内容は,内容は8月のIntel Developers Forum(IDF)でGelsinger氏が行ったプレゼンテーションとほぼ同じ(8月25日の記事参照)。Intelは8月に「Peer-to-Peer Working Group」を発足。ワーキンググループには米IBMや米Hewlett-Packerdなど主要企業が参加し,9月にサンノゼで開かれた初会合には約70社が出席し,共通のプロトコルやセキュリティなどの仕様について検討を始めた。

 P2Pは,ネットワーク上で眠っているリソースを有効に活用するのが本来の狙いだ。Gelsinger氏によると,使用されないままのディスクスペースは2003年には世界全体で10万Tバイトにのぼる上,現時点でも5万台のスーパーコンピューターに匹敵する処理能力が眠ったままだという。

 P2Pでは,PC同士を接続して束ね,1台の仮想的なコンピュータとして処理を行わせる。電波望遠鏡の観測データをPCの空き時間に解析させ,地球外知性の存在を探る「SETI@Home」プロジェクトが代表的な例。Intelでは10年前に「NetBatch」システムを開発し,社内のワークステーションやサーバに分散処理をさせてきた。これにより新プロセッサの開発スピードの短縮を実現しながら,約5億ドルのコスト削減も実現したという。

 しかしP2Pは,こうした分散処理だけにはとどまらない。「初めてWebブラウザを使ってWebを見た時,Yahoo!やeBayのようなサービスが登場すると考えた人はいただろうか。P2Pによって2〜3年後には全く新しいアプリケーションが誕生しているだろう」と予言する。

 その例として挙げられたのが,MP3交換ソフトの「Napster」やファイル交換ソフト「Gnutella」だ。「Napsterの普及スピードは,Yahoo!ユーザーの拡大よりも早かった。P2Pは,『Mosaic』がそうだったようにインターネットのさらなる発展を先導する技術。IT業界は一丸となってP2P環境を構築すべきだ」と呼び掛けた。

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[小林伸也, ITmedia]

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