News 2000年10月24日 10:03 PM 更新

早くも始まった第4世代移動体通信「4G」研究,合い言葉は“ABC”

まだ始まっていない第3世代移動体通信に続く第4世代の研究が既に始まっているという。4Gでは,場所を問わずにネット接続できるモバイルインフラづくりが主眼となる。

 2001年5月にスタート予定の第3世代移動体通信。現在の方式と比べ飛躍的にデータ通信速度が向上し,モバイルとIPを融合させたさまざまなアプリケーションが誕生すると期待されている。その一方で,早くも「第4世代」(4G)の研究が始まっているという。

 ブロードバンドIPネットワーク関連ベンダーが集まったイベント「e-Drive」のセミナーで講演した,日本エリクソンデータネットワーク事業部の鈴木寛部長によると,4Gのコンセプトは“ABC”。これは“Always Best Connection”,つまり常に最適な接続環境を整備することを目指しているという。

 4Gでは,W-CDMAなどを利用したWAN/LANに加え,PAN(Personal Area Network)が重要視される。PANは通信端末とPDAなどを結ぶ個人レベルのネットワークで,接続にはエリクソンが主唱したBluetoothを利用。さらに公共機関など,人が集まる主要な場所にBluetooth環境を用意し,手元の端末で情報を入手したり,ネットに接続したりといったことを可能にする。ネットに接続される端末機器は膨大な数にのぼるため,プロトコルはIPv6に移行する。

 現状では携帯電話やPHSをネットを利用できる場所は限られている。まだコンセプト段階ではあるが,場所を問わないモバイルコンピューティングが可能なインフラづくりが4Gの狙いだ。エリクソンはその先駆けとして,多数のユーザーがBluetoothと端末を使ってネットに接続できるプラットフォームを年末から来年初頭にかけて発表するとしている。

 さらにエリクソンでは,W-CDMAの次の移動体通信規格の研究も始めているという。W-CDMAのデータ通信速度は最大で2Mbpsだが,これを拡張した「W-CDMA Evolution」は最大20Mbpsの速度を実現できる見込み。さらに100Mbpsに達する次世代規格の研究開発にも着手しており,2010年ごろの実用化を目指しているという。

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[小林伸也, ITmedia]

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