News 2000年10月25日 10:36 PM 更新

NEC,無線LANの導入時に室内の電波状況をチェックできる「RADIOSCAPE」を開発

NECは,住宅やオフィスで無線LANを導入する際,あらかじめ屋内の通信障害ポイントを予測するツールを開発した。

 NECは10月25日,無線LANを構築する際に住宅やオフィス内の通信状態をシミュレーションして予測できるツール「RADIOSCAPE」を開発したと発表した。インターネットを利用したクライアント/サーバシステムを採用したことで,多数のユーザーに低コストで予測サービスを提供できる点が特徴。同社の「Aterm ワイヤレスLAN WARPSTAR」(11月下旬出荷)ユーザーを対象に,12月中旬から試験運用を行う予定だ。

 RADIOSCAPEを利用する際は,まずクライアントソフトを利用して,対象となる住宅やオフィスの間取り図を作成する。壁の材質なども細かく設定し,基地局を設置したい場所の候補を指定する。

 サーバは,受け取った間取り図データをもとに電波伝搬状況を解析し,通信障害ポイントを予測し,結果をユーザーに報告する。結果は、「安定通信可」「通信不安定」「通信不可」の3段階で間取り図上に色分けして表示してくれるため,任意の場所に基地局を置いた際の死角がひと目で分かるようになっている。


色分けされて表示された結果。間取り図はドローソフトの要領で,用意されたパーツを組み合わせて作成する。慣れないと手こずりそう

 予測できるのは3階建ての家屋まで。一般的な3LDKの家屋であれば1分以内で解析できるという。対応するワイヤレス通信方式は,無線LANの標準規格であるIEEE 802.11bとBluetooth。両方式が混在した際の干渉の影響も予測する。

 室内の電波伝搬状況を予測するソフトは既に販売されているが,業務用のため価格は数百万円と一般ユーザーの利用はほぼ不可能だった。さらに,2.4GHz帯は無線LANやBluetoothに加え,電子レンジなども利用する電波の“密集地帯”。このため無線LANを導入する際は,設備を購入してから基地局の設置場所に苦労したり,ほかの機器との干渉によって通信障害に悩まされ,十分な通信速度が確保できないケースが報告されているという。

 NECでは「無線LANの導入が今後進めば,問題発生も頻発する」とみて,RADIOSCAPEをユーザーサポートに活用していく考え。試用期間中の利用は無料だが,今後の方針は未定。またSI事業やASPサービスへの展開も視野に入れている。

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[小林伸也, ITmedia]

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