News 2000年10月25日 10:40 PM 更新

女性向けサイトは自己満足?

女性企業家ネットワークであるW-SOHOリーダースリンクがシンポジウムを開催。「女性向けサイト」について疑問を投げかけた。

 女性企業家ネットワークであるW-SOHOリーダースリンクは10月26日,都内のホテルで「21世紀の女性市場戦略〜見られるサイト,見られないサイト〜」と題したシンポジウムを開催。昨年から数多く誕生している女性向けサイトについて「女性が本当に求めているものか」という疑問が投げかけられた。W-SOHOリーダースリンクは,今年9月にインターネット利用動向について女性を対象にアンケートを実施,一般ユーザー800名,ならびに約80の女性サイトから回答を得た。今回のシンポジウムでは,このアンケート結果をもとにプレゼンテーションが進められた。

 女性向けサイト運営のエイガアル社長でW-SOHOリーダースリンクの代表を務める伊藤淳子氏は,乱立する女性向けサイトの現状について,「今のところ,圧倒的に支持を得ているサイトはない。女性向けといってもその枠組みはあまりにも大きい。さらに,おなじ女性であっても,ネットの経験年数によって利用方法は大きく異なる」とコメント。自ら女性向けサイトの「A-Girl」を運営する伊藤代表だが,女性向けという切り口については非常に懐疑的だ。

 アンケート結果から読みとれる傾向は,サイト運営者側と市場ニーズが,大きくかけ離れているということ。W-SOHOリーダースリンクでは,女性ユーザーが望んでいる情報と女性向けサイトが取り扱っているコンテンツについて比較。美容・ダイエット・ショッピングといった女性向けの王道コンテンツでは需給のバランスがとれているが,在宅勤務や経済・金融についての情報や法律相談といったサービスは,多数の女性が必要だと考えているにも関わらず,提供しているサイトはあまりない。逆に,出会いや結婚といった情報は豊富にあるが,それを必要としている女性ユーザーはそれほど多くないという。

 こうしたサイト運営者と女性ユーザーの“温度差”について伊藤代表は,「全体的な傾向として,女性向けサイトの多くは,市場ニーズではなく自己満足のためにサービスを行っているのではないか」と厳しく評価する。

 また,シンポジウムに特別ゲストとして基調講演を行った通商産業省機械情報産業局の萩原崇弘氏は,「女性向けサイトは,口コミなどで人気を得ようとするのではなく,市場動向に基づくマーケティングデータによってきちんと経営を行うべき」と語った。そういえば,女性向けサイトの設立会見では,「口コミ」という言葉がキーワードのように使われている。萩原氏の提言は,まさに当を得ているようだ。

関連リンク
▼ W-SOHOリーダースリンク

[中村琢磨, ITmedia]

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