News 2000年10月26日 07:01 PM 更新

富士通,東電など4社がCATVで事業連合設立

富士通,東京電力,セコム,丸紅の4社がCATV会社を支援するための事業連合を設立。資金援助を含めた包括的なサービスメニューを用意した。

 富士通,東京電力,セコム,丸紅の4社は10月26日,CATV事業連合を設立し,ブロードバンドサービスのインフラとコンテンツの両面からケーブルTV会社を支援すると発表した。10月に設立した企画会社「ジャパンケーブルネット企画」を12月にも事業会社化し,地元資本で運営している独立系のCATV会社や有力企業にも参画を呼びかける。

 事業連合会社のビジネススキームは,4社の持つノウハウや資源を持ち寄り,新しいコンテンツや共有バックボーンネットワークをCATV会社に提供すること。2001年4月にも関東地域で東電の光ファイバー網を中心とした局間ネットワークを展開し,BSやCSのデジタル放送をケーブル経由で提供するデジタル配信センターも構築する。また,富士通の@niftyやデータセンターのノウハウ,セコムのセキュリティ・医療サービスなどにより,双方向TVを使ったホームドクターサービスやVoIPによる電話サービスなどもメニューに加える。各CATV会社は,必要に応じて任意にサービスを選択することができるようになる。

 これにより,「CATV会社は最新技術に迅速にアクセスし,かつ調達コストを削減することができる」(富士通の古河建純常務)という。インターネット接続やデジタルBS/CS/地上波放送の配信,双方向TVといった新しいサービスを取り込むことで,「CATV会社が暮らしのインテグレータとして成長することを手伝うのが目的だ」(古河氏)。

独立系CATV会社に対する資金援助も

 CATVは,有力なブロードバンドインフラとして期待されている一方,難視聴区域などで地元資本によって設立された独立系CATV会社の中には,資金ぐりに困っているケースも多い。そうした会社ではインターネット接続のような新しいサービスを提供したくてもできず,売り上げも伸びないという悪循環に陥っている。また,デジタル配信センターのコストを独立系CATV会社が1社で負担することは事実上不可能であり,こうした事情がCATV会社の統合や再編につながる可能性も指摘されている。

 新事業連合会社では,こうしたCATV会社に対する資金面での支援サービスも行う。サービスエリアの拡張や広帯域化など,コストのかかる設備改修にあたっては,局間ネットワーク設備の提供や増資の引き受け,資本提携といった方法で対応する方針だ。CATV事業全体のサービスレベルを押し上げ,重要な社会インフラとしての地位を確立することで,自社の利益にもつなげるという意図がある。

 12月にも設立される事業会社「ジャパンケーブルネット」の資本金は320億円。出資比率は,富士通が28%でほかの3社が各23%となっている。残りの3%は,独立系CATV会社などに出資を依頼する方針だ。「CATV会社には株式交換などの(出資)方法も用意する」(古河氏)。なお,同社は近い将来のIPOを目指すという。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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