News 2000年10月27日 10:22 PM 更新

PCとオーディオのいい関係

 愛用しているカノープスのUSBサウンドアダプタ「DA-Port2000」が販売終了になってしまった。同社には,この製品の簡易版ともいえる「MD-Port New Edition」があるので,今後はそちらに統一するということなのだろう。2系統あった入出力端子が1系統ずつになっているが,一般的な使い方で不便を感じることはない。


カノープスの「DA-Port2000」(左)と「MD-Port New Edition」。MD-Port New Editionは1万6800円

 ぼくは,DA-Port2000をPCにUSBで接続し,オーディオ出力端子としての光OUTから,DAコンバータ経由でアンプに入れてPCのサウンドを楽しんでいる。そこまで凝らなくても,最近のアンプは,ミニコンポクラスでも,たいてい光入力端子を備えているし,ノートパソコンなどでも,サウンド用に光出力を持つ製品もよく見かける。こうやって接続するだけで,PC内蔵のCD-ROMドライブと内蔵スピーカーの組み合わせでは実現不可能な良質なサウンドが得られる。もし,今現在使っているPCとミニコンポの両方に光端子があり,光ケーブルで結べるのなら,だまされたと思ってつないでみてほしい。1000円前後の出費で,びっくりするほどいい音が得られるはずだ。

オーディオメーカーのアプローチ

 PCとオーディオを両立させようという試みは,いろいろなアプローチが各方面でなされてきた。ただ,PCのケース内部はノイズだらけなので,良質な音を出すのは難しいというのがもっぱらの通説だ。サウンド回路をUSBで外に出してしまうのは,それを回避するためのひとつの方法だ。

 が,あくまでもPCIバスにこだわるメーカーもある。バス幅がUSBでは狭すぎるという判断からなのだろう。たとえば,ハイエンドオーディオメーカーのラックスは,この春に,PC用サウンドボード「Luxman Sound Board」の発売を表明している。秋頃の発売のはずだったのだが,なぜか,今では,同社のWebサイトから情報が消えてしまった。期待していた製品だけに,その行方が気になっている。

 この手のデバイスの製品化に熱心なメーカーとしてはオンキョーが有名だ。そのオンキョーが,秋の新製品として,PCIバス用の高品位オーディオボード「SE-120PCI」を発売するという。オンキョーは今,デジオンとの密接な協力関係にあり,今回の製品も,同社とのパートナーシップはいい方向に進んでいるようだ。デジオンは,ジャストシステムの「MP3 BeatJam」や「MegaVi DV」(5月6日の記事を参照)などを開発しているメーカーで,PC用のオーディオビジュアル関連のソフトウェア技術の高さを自負する異色のソフトウェアハウスだ。


オンキョーの「SE-120PCI」。2万4800円で11月下旬発売予定

 SE-120PCIは,メインボードとサブボードによって構成され,PC内部の高周波ノイズやアースループからの影響によって,音質が劣化することのないようにノイズ干渉を徹底的に低減させるべく,さまざまな工夫がなされているという。スペックと能書きを見るだけで,ちょっと使ってみたくなる製品だ。

 当然,ドルビーデジタル5.1ch出力,dts出力などにも対応しているが,うちの場合,もう余分なスピーカーを置くスペースは,どこを工夫してもなく,PCオーディオは昔ながらの2chステレオで楽しんでいるが,それを少しでも良くしたいという気持ちは人一倍ある。だからこそ,個人的にはこうした製品を出そうとするメーカーを応援したい。

 本当だったら,ソニーや松下,ヤマハ,ケンウッドといったメーカーにも,もっとがんばってほしいところだが,そんな動きがあまり感じられないのは,大きなビジネスにはならないということなんだろうか。もっとも,こうした大メーカーなら,タワー型PCのケースを開けて,拡張カードをつっこむような酔狂なユーザーは,絶滅の危機に瀕しているという判断をしていてもおかしくない。ちょっと寂しいけれど,それが現実だ。

 夏前に購入したスピーカーが,だいぶいい音を出すようになってきた。カドがとれて「音声(おんせい)」が「声(こえ)」になってきた感じ。気の長い話だ。11月には「オーディオエキスポ2000」も待っている。各社の新製品を楽しみに待ちたい。

関連リンク
▼ カノープス
▼ オンキョー
▼ デジオン
▼ オーディオエキスポ2000概要

[山田祥平, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.