News 2000年10月31日 11:07 PM 更新

MS,Whistlerベータ版を参考出展──インテルはItaniumのパイロットリリースを開始

マイクロソフトが64ビット版のWindows「Whistler」をインテルのイベントで公開。Itanium評価機のエンドユーザー向け出荷も始まった。

 マイクロソフトは10月31日,インテルが都内で開いたイベント「インテル ソリューションズ・ショーケース&フォーラム」で,米国での正式発表に先駆け64ビット版Windows 2000(開発コード名:Whistler)のベータ版を参考出展した。またインテルは64ビットMPU「Itanium」のパイロットリリースを開始し,NECと日立製作所,三菱電機の3社が評価用サーバを顧客向けに出荷を始めた。64ビット版Windows 2000はこれら評価用サーバとともに提供される。

 参考出展された64ビット版Windows 2000のベータ版は,クライアント用のWindows 2000 Professional相当版と,サーバ用の同Advanced Server相当版の2種類。Professional相当版の画面には「Windows Whistler Professional,64-bit Edition」「ビルド 2285,beta1」と表示されている。ただし製品版が“Professional”“Advanced Server”といった名称でラインアップされるかどうかは未定。ベータ版は既に日本語化されているが,Advanced Server相当版は英語バージョンのみが展示された。


Whistler Professionalのデスクトップ画面


デスクトップ隅に表示されたビルドナンバー


「システムのプロパティ」。Itaniumの動作クロックはご丁寧なことに「0MHz」

 画面上は現行の32ビット版Windows 2000とほぼ変わらないが,Itaniumが目指す基幹業務系システムの運用に対応するため,大容量メインメモリの効率的な利用や堅牢性,スケーラビリティなどの向上が図られている。

 ベータ版リリースは,米国で11月1日(現地時間)に

正式発表される予定だが,Itaniumのパイロットリリース開始に合わせて国内で「ちょっとフライング」(マイクロソフト)して公開された形だ。正式版の出荷時期については「まだ全く見通しは立っていない。Itanium次第」(同社)としている。

ユーザの評価段階に入ったItanium

 Itaniumはこれまで一部ハードウェアメーカーなどに限定してサンプル出荷が行われてきた。今回のパイロットリリースで,Itaniumシステムは金融機関などのエンドユーザーに直接評価される段階に入った。

 NECは16Wayサーバ「AzusA」(開発コード名)と4Wayサーバ,2Wayワークステーションの3種類の評価機を30社に提供するが,Itaniumの動作クロックは公開していない。OSはWhistlerと64ビット版HP-UX,同Linux(TurboLinux)の3種類をサポート。「現時点でこの3種類が動作するItaniumシステムはNECのみ」と胸を張る。

 日立はItanium/733MHzの8Wayサーバを出荷する。メインメモリは16Gバイト,HDDは72Gバイト。OSはWhistlerとLinux(TurboLinux)。三菱電機の評価機は2Wayサーバ。ラックマウント型のフロアスタンド型の2タイプのきょう体を用意する。Itaniumの動作クロックは公開されていない。


インテルのイベントで公開されたNECのItaniumサーバ「AzusA」。コードネームの由来は,Itaniumの開発コードネーム「Merced」が川の名前だから日本の川の名前を採用,さらに開発担当部門である同社府中事業所と山梨事業所を結ぶ特急が「あずさ」だったから,という。従って試作2号機は「あずさ2号」と呼ばれている

Itanium製品版は来春にも出荷開始

 インテル ソリューションズ・ショーケース&フォーラムでは,米IntelのIAソリューションチャネル事業本部副社長兼ディレクターのJohn Davis氏が基調講演した。Davis氏は「Itaniumシステム向けに約400のアプリケーションが開発中であり,既に6500のプロトタイプシステムと3万2000のプロセッサを出荷した」と自信を見せ,IAベースの情報システム構築を促した。

 インテルのJohn Anton社長によると,Itaniumのパイロットリリース期間は4〜6カ月間を予定。正式出荷は「日本の会計年度の変わり目ころ」(Anton社長)にも行われるとしている。

関連リンク
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[小林伸也, ITmedia]

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