News 2000年11月1日 09:47 PM 更新

パソコンやSTBの中で生きていくDreamcast−−セガ,新戦略を発表(2)

ゲームソフトの4本に1本はセガに

 Dreamcastというハードウェア拡販から解き放たれたことで,セガはソフトウェア(コンテンツ)事業についても,自由度が高くなる。

 現在,同社の世界のゲームソフト市場でのシェアは4.2%まで低落しているが,DCフォーマットのネットワークゲームの拡充を進めるとともに,スタンドアロンゲームに付いてはPlayStationなどの他社フォーマットへの移植も積極的に行い,積極的にシェアを取りにいく。同社では,ワールドワイドのシェアを現在の6倍以上になる25%まで引き上げ,世界ナンバーワンのゲームソフトベンダーになることを目標に掲げている。

 一方,ネットワークゲームに付いては,2001年中に「ダービーオーナーズクラブ オンライン」など30タイトル以上を投入,市場の育成役となっていく方針。同社ではこの分野に付いてはSCEや任天堂など「他のゲームコンソールベンダーと比べて1年から1年半のアドバンテージがある」(コンテンツ事業統括の香山哲特別顧問)と自信を見せており,早い時期に1000万人のオンラインユーザーを実現させるという。

 ゲームの開発には巨額の投資が必要になるが,これについては「11月中に開発投資の内訳の見直しを行う」(香山氏)。これまでDreamcast対応のゲームを開発してもらうため,他社にさまざまな資金提供を行ってきたが,「セガの金をセガのために使うようにする」(同)。また,先頃,コナミが打ち出したような,ゲームタイトルを対象にしたファンドを同社も設立,開発リスク軽減に努める。これについては近く発表するという。

2002年でキャッシュフローをプラスに

 セガでは,こうした新しい事業計画によって,2002年3月期に「連結営業利益200億円とフリーキャッシュフローの黒字化を達成」(執行役員・山崎昇一氏)する方針だ。

 事業部門別では,ソフトウェア事業部門が,2001年3月期の連結営業利益229億円から2002年3月期には300億円に,アミューズメント部門は100億円から100億円プラスアルファに,ネットワーク部門は74億円の損失から黒字化を目指す。そして最大の懸案であるハードウェア事業部門の連結営業損失を200億円以下に留めることで,先に上げた全体で連結営業利益200億円という目標を達成する。

 懸念材料とされる同社の資金残高については,10月初旬の347億円が「当社として年間のボトム」(山崎氏)であり,来年3月には644億円に増加するという。来年には250億円の社債償還があるが「対応できると判断している」と山崎氏は述べた。

代表取締役会長兼社長 大川功氏の話:もうハードの時代ではない。私がセガの経営に本格的に参画した97年6月にはすでにDreamcastの開発は進んでいたが,(今後を考えて)反対を押し切ってモデムを付けた。(米欧での価格引き下げで今期営業損失が出るが)在庫で持つんだったら,ネットワークビジネスを進めるため,やってまえ,という考えだ。ケチケチしていたらアドバンスはとれない。モデムがあるから(Dreamcastは)生き長らえている。それがなかったら,ハードは締めている。

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[中川純一, ITmedia]

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