News | 2000年11月6日 05:39 PM 更新 |
NEC,松下電器産業,インターネット総合研究所(IRI)の3社は11月6日ブロードバンド事業を進める企画会社「ブロードバンド・エクスチェンジ」(BBX)の設立を発表した。BBXは,CATVやDSLなどアクセス回線を持つ通信事業者と,データセンターや動画像コンテンツなどを提供する企業を仲介し,相互に接続するネットワークを提供するのが目的。通信事業者はコンテンツを拡充することが可能になり,コンテンツプロバイダーはすべての広帯域キャリアに向けて発信できるチャンスを得るという。IRIの藤原洋所長は「遠距離通信事業者が進めているブロードバンドバックボーンとアクセス網の接続が課題になっている。ここに接続,認証,課金を含むプラットフォームを提供し,ブロードバンドキャリアを支援する」と話している。
BBXは,まず資本金1億円の企画会社として設立される。出資比率は,IRIが50%,NECが35%,松下が15%。人員は10 〜15人程度で構成し,代表はIRIの藤原洋所長が兼任する予定だ。半年後を目途に事業会社化し,最終的には数十億から百億円規模の資本金を調達する構え。「コンテンツから端末に至るための幅広いパートナーを募り,ブロードバンドエクスチェンジサービスにおける業界の共通基盤を構築する。意志決定の迅速さを失わないレベルで,なるべくたくさんの企業に参画してもらいたい」(藤原氏)。
BBXの事業内容は主に3つ。
○ブロードバンドインターネット事業支援サービス
CATVなどのアクセス回線事業者に対して事業の構築・運用・管理を支援する。
○コンテンツ配信,管理プラットフォーム提供サービス
動画像などのコンテンツを提供する事業者に対し,コンテンツの配信や認証・課金・ユーザー管理サービスを提供。
○ブロードバンドエクスチェンジサービス
CATVなどのアクセス回線事業者やISPなどに対し,IPv6やIPマルチキャストといった次世代技術に対応した広域IPネットワークによる相互接続サービスを提供する。スポーツ中継など,リアルタイムかつ大容量の動画像などをマルチキャストサービスで提供できるようになる。
BBXでは,IRIが大容量トラフィックの交換技術やインターネット関連のインフラ構築技術,iDC(インターネット・データセンター)技術などを提供。BIGLOBEやHi-HO事業を持つNECと松下は,それぞれのノウハウを持ち寄るとともに,NECのインフラ構築技術や松下の情報家電技術,映像コンテンツサービスを新事業に活かす。「実際の事業とノウハウの蓄積を期待している。オープンで中立的なしくみを作りたい」(NEC)。
もちろん,中立的なプラットフォームという言葉の裏には,それぞれの思惑がある。ブロードバンドとホームネットワークの時代を間近に控え,松下は情報家電,NECはソリューション分野で早い時期にノウハウを吸収したい。大容量トラフィックの交換技術を持つIRIと共同歩調をとることで,将来の主導権争いを有利に進めたい考えだ。松下電器産業では「eHII(e-Home Inforomation Infrastructure,10月31日の記事を参照)やePF(eプラットフォームサービス)を進めるため,ラストワンマイルだけでなく,数マイル先まで勉強することが必要だと判断した」と話している。
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