News | 2000年11月10日 08:38 PM 更新 |
バッテリーが切れた携帯電話やノートPCは高価なガラクタ。だからこそTransmetaのCrusoeがもてはやされ,低消費電力化に各社やっきになるのだが,逆のアプローチのほうが実現は近いかもしれない。つまり人間の力で発電を行うのだ。
SRIインターナショナルは,歩行運動によって消費されるエネルギーを回収して発電する,「靴発電システム」を研究中だ。東京・科学技術館で開催された「マイクロマシン展」で,SRIインターナショナルに話を聞いた。
米国,カリフォルニアに本社を置くSRIインターナショナルは,マイクロマシン用に人口筋肉を開発している。人口筋肉は,電歪ポリマーという素材に電圧をかけることで拡張し,動物の筋肉を凌ぐ性能を持っている。
では,この人口筋肉を押しつぶすとどうなるのか? 逆にそこから電力が取り出せるのだ。ちょうど,モーターに回転を与えてやると発電機となって電力が得られるのと同じような原理だ。
SRIインターナショナルの上級リサーチエンジニアであるRon Pelrine氏は,通常の歩行ならば1〜2ワットの電力を靴発電システムが生み出すという。潜在的には,2〜3ワットの電力が得られるというのだから驚きだ。
ちなみに,普通のPCがどのくらいの電力を消費するのか例を出しておこう。Intelが「Intel Deveroper Forum Fall 2000」で公開した資料によると,現在のオールインワンノートPCの消費電力は20ワット程度,薄型のサブノートでは10ワット程度となっている。
2〜3ワット程度じゃノートPCは動かないじゃないか! と思い込むのは早すぎる。ノートPCはバッテリーを持っているのだから,歩いている最中に充電すれば問題ない。さらに「走ると,歩くときの3〜4倍の電力が得られるよ」(Ron氏)とのこと。21世紀には,「何を走ってるんだい?」「いや,ノートPCのバッテリーが切れたんだ」というような光景が見られるかもしれない。
この靴発電システム,現在はプロトタイプで直径が7センチ,厚みが2.5センチある。とはいえ「2〜3年後をめどに米軍に納入する」(Ron氏)と,製品化の見通しも明るい。
今回は,人口筋肉のほうがメインの展示だったが,次回のショウでは,靴発電システムのプロトタイプを持ってきてくれるとのこと。モバイルを一変させるハイテクシューズはすぐそこまで迫っている。
関連リンク
SRIインターナショナル
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.