News 2000年11月13日 05:20 PM 更新

Intel,1GHz版と超低電圧版のモバイルPentium IIIをデモ

COMDEX前日,Intelは来年前半に投入を予定するモバイルPentium IIIの試作品を披露した。「1GHzと1ボルトの壁」を破った自信作だ。

 米Intelは「COMDEX/Fall 2000」開催前日の11月12日,モバイルPentium IIIの試作品のデモを実施した。1GHz動作の高速版と,1ボルト以下で動作する超低電圧版の2種類で,どちらも2001年前半に投入が予定されているもの。Intelは「来年には1GHzと1ボルトの壁を破る」と宣言していたが,少なくとも試作レベルでは既に実現していることになる。

 試作品のデモは,ラスベガス市内のホテルで開かれたモバイル関連イベント「Mobile Focus」で披露された。1GHz版は米Compaqの「Presario」,超低電圧版は米IBMの「ThinkPad」に搭載されて動作していた。

 1GHz版は,Intelが定義する「Full Size Note」(A4オールインワンノートPC)向けの高速CPUだ。従来通り0.18μメートルプロセス製造され,消費電力は最大24〜22ワット。デモでは数種類の動画再生と3Dグラフィック表示を同時に行ない,その高性能ぶりをアピールしてみせた。


モバイルPentium III/1GHzのデモ。動作クロックを示す右上のメーターが「1000」を指している

 超低電圧版は,B5サブノートPC向けとして米Transmetaの「Crusoe」に対抗する戦略製品だ。SpeedStepテクノロジにより,最高動作クロックは500MHz,低消費電力モード時には300MHz,0.95ボルトで動作する。Intelによると,500MHz時の消費電力は0.85ワット,300MHz時は0.4ワットと1ワットを下回っている。製造プロセスは1GHz版と同様に0.18μメートルプロセス。


超低電圧版モバイルPentium III/500-300MHzを搭載したThinkPad


プロセッサの消費電力をリアルタイムに示すグラフ。小刻みに電力が上下しているのが分かる。平均消費電力は0.15ワットと表示されている

 気になるCrusoeとの比較だが,Intelは「既に低電圧版モバイルPentium III/600M〜500MHzを出荷しているが,500MHz時は1.1ボルトで動作し,消費電力はCrusoeを下回っているうえ,性能はCrusoeより優れている」と話している。これ以上の省電力化については「製造プロセスの0.13μメートル化などで可能ではある。だが一般のノートPCの消費電力が7ワットだとすると,CPUの消費電力が0.4ワットから仮に0.1ワットに下がっても,全体に占める割合が少ないので,バッテリー寿命の長時間化にはそれほど貢献しないのでは」とディスプレイやHDDなどを含めたシステム全体の見直しを促している。

 モバイルPentium IIIの1GHz版と超低電圧版については,Intel副社長のPat Gelsinger氏が「2001年中に1GHzと1ボルトの壁を破るだろう」と語っていた(10月20日の記事参照)。両試作品とも既に順調に動作している様子だが,Intelは「出荷は2001年前半」と述べるにとどまっている。

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[小林伸也, ITmedia]

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