News 2000年11月21日 10:21 PM 更新

最強のメール端末,持ち運べるビデオ環境──新ザウルスの詳細をチェック

これまでのPDAを凌駕する機能と,低価格を誇る新ザウルスを,動画を交えてチェック!

世界最小の快適メール端末

 飛び出すキーボードは,初代ザウルスからのコンセプトである"これ1台で自己完結する"という考え方に沿ったもの。キーボードをつなげたり,PCと連携して"入力はPC側で"というPDAが多い中,ザウルスだけで入力から閲覧まですべてをこなすためには必須のものだ。


キーボードの具合をチェック(動画:1.3Mバイト

 キーボードのタッチは極めて良好。隣のキーを間違って押してしまわない絶妙なキーピッチがあり,ストロークも十分だ。この大きさで見事なクリック感もある。キーボードの搭載に伴い,連文節変換が可能なカナ漢字変換機能も搭載されている。

 コンパクトフラッシュType IIのスロットは,基本的には機能拡張用に備えられた。P-in Comp@ctの利用を主眼に置いている。「半数以上がP-in Comp@ctを利用すると思う」(説明員)。

 P-in Comp@ctにフォーカスすることで,「タイマーメール」と呼ばれるメールの自動受信なども可能になった。朝7時,などと時間を決めておけば自動的にザウルスが起動し,ダイヤルアップ後,メールを自動的に受信する。

いつでもどこでも動画という生活

 SDカードスロットはストレージ用,とくに動画や音楽を格納するのが主目的だ。SDカードの著作権保護技術には対応しておらず,マルチメディアカード(MMC)とSDカードを純粋にフラッシュメモリとして利用する。


ザウルスの動画再生機能をチェック!(動画:1.3Mバイト

 従来のザウルスと互換性を持ちながら,使用しているCPU(SH3)は非常に高速だ。MPEG4形式の動画を本体で再生できる。動画の再生モードは3種類あり,160×120,240×176,320×240ピクセル。ほぼVideo-CDに迫る解像度までサポートしていることになる。240×176ピクセル時で1秒間に7フレームほど再生できる。アクションシーンなどでも気にならないフレームレートだ。

 動画再生時間の目安だが,1枚のSDカード(64Mバイト)で2時間程度だという(中解像度)。バッテリーで連続1時間40分程度の動作が可能ということなので,通勤途中に映画を楽しむこともできる。

 MPEG4動画は,Microsoftのasf形式と互換性があり,手持ちの動画データをWindowsなどで変換することができる。


同時発売が予定されているMPEG4ビデオレコーダ

 ザウルスと同時に「MPEG4ビデオレコーダ」も発売される。MPEG4ビデオレコーダは,PCカードスロットを備えたMPEG4エンコーダで,コンポジット端子経由でビデオデッキなどから動画を取り込み,MPEG4に変換してPCカード上のストレージに保存できる。価格は3万円程度。SDカードにPCカードアダプタを付ければ,SDカードにMPEG4動画を保存することも可能だ。もちろん,格納した動画はそのままザウルスで見ることができる。

 シャープスペースタウンでは,MPEG4のコンテンツも提供予定だ。

さまざまなオプションも用意

 これまでのザウルスも,MP3再生時の音質の良さには定評があった。新ザウルスも「リモコン付きヘッドフォン」がオプションとして用意され,MP3再生を楽しめる。

 現在,LANカードやBluetoothカード,GPSカードも開発中で,コンパクトフラッシュType IIスロットにさしこんで使えるようになるという。

 コンパクトフラッシュ型のCCDカメラは,従来のオプション品が利用できる。まさにオールインワン。Webブラウジングからメール,動画再生,音楽再生,カメラまで利用可能なわけだ。もちろん,成熟し定評のあるザウルスならではの個人情報管理機能も搭載している。


ちなみに,Webブラウザは横型。ZDNetもここまでしっかり表示できる

 ここまで何でも可能な端末だと,テレビも見たい! と思ってしまうのだが,そればかりはしばらくお預けのようだ。2003年に始まる予定のデジタル地上波放送にはコンパクトフラッシュタイプのチューナーカードで対応可能だという。

本体の基本性能は?

 本体の基本仕様は以下の通りだ。

型番 MI-E1
CPU 32ビットRISC
本体メモリ DRAM 8Mバイト,フラッシュメモリ 8Mバイト
ディスプレイ 3.5型6万5000色反射型TFT液晶(240×320ピクセル)
サイズ(液晶保護カバーなし) 81.5(幅)×139.5(奥行き)×17(厚さ)ミリ
重量(液晶保護カバーなし) 200グラム

 バッテリーはリチウムイオンで,連続稼働時間は以下の通り。

フロントライト消灯時
カレンダー画面連続表示時 約10時間
P-in Comp@ctで連続データ通信時 約2時間
動画連続再生時 約1時間40分
フロントライト点灯時
カレンダー画面連続表示時(明るさ最小) 約4時間
カレンダー画面連続表示時(明るさ最大) 約75分
動画連続再生時(明るさ最小) 約85分
動画連続再生時(明るさ最大) 約45分

 オールインワンといっても,PCとの連携も当然可能だ。別売りになるが,Windows 95/98/Me/2000に対応するUSB接続キットが用意されている。残念ながらMac OSには対応しない。

 新ザウルスは,メールや動画の再生を満足できるレベルで実現している。“なんでもできるが,どれも中途半端”という携帯機器が多いなか,動画の再生とメールの利用へフォーカスしたことで“使いモノになる”と確信できるマシンができあがった。自分が電車の中でテレビ番組を見ている光景が目に浮かぶようだ。利用法を具体的に提案できているところが,新ザウルスを魅力的にしている要因だろう。

 ここまでいろいろな機能が詰まって,なんと実売価格は5万円を切る程度。12月15日の発売日が心待ちだ。

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[斎藤健二, ITmedia]

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