News 2000年11月28日 09:43 PM 更新

ドメイン紛争,日本でも本格化──「goo」が登録移転申し立て

検索エンジンの「goo」のドメインは「ne.jp」であって「co.jp」ではない。JPドメインの紛争解決機関が,そんな問題の解決に乗り出している。

 ロボット型検索サイトとして有名な「goo」のURLは“http://www.goo.ne.jp/”であって,“co.jp”ではない。これは有名な話だが,問題は“http://www.goo.co.jp/”にアクセスすると,ポルノサイトへ転送されることだ。

 11月24日,gooを運営するNTT-Xは「goo.co.jp」ドメインを所有する会社を相手取って,工業所有権著作権センターに登録移転申し立てを行った。

 工業所有権著作権センターは,日本で最初のJPドメインの紛争解決機関。JPNICから委託を受ける形で10月19日から受付を開始している。

JPドメインに関する紛争としては2件め

 移転申し立てに至った経緯は次のようなものだ。「goo.ne.jpを利用するユーザーから,類似サイト(goo.co.jp)に対して苦情が出ている。ユーザーへの迷惑とgoo.ne.jpのブランドイメージ低下を考え,移転の申し立てを行った」(NTT-Xのgooカンパニー広報部の中村氏)

 これまでも苦情はあったが,「明確な紛争解決の手段がなかった」(中村氏)ために具体的な行動に出られずにいた。工業所有権著作権センターがJPドメイン紛争処理を開始するのを受けての申し立てだという。

 工業所有権著作権センターによると,解決までの流れは次のようになる。「“goo.co.jp”ドメインの所有者に12月22日までに答弁書の提出を求めている。これを受けて元裁判官,弁護士などのパネリストが審理を行い,1月上旬には結果が出る」(工業著作権センター)。

 移転申し立てが認められた場合,“goo.co.jp”の所有が移転しNTT-X側がドメインを管理する形になるが,“goo.ne.jp”への転送を行うかなどその後の処置は未定だという。

 工業所有権著作権センターが受け付けた移転申し立ては,今回が2件め。1件めの「axis.co.jpドメイン」に関しても現在処理中だという。

紛らわしい「co.jp」ドメイン

 JPNICでは,以下のようなドメイン名の登録,使用を不正の例として挙げている。

  • ドメイン名を先取りし,商標権を持つ人に対して高額で転売しようとする行為
  • 他人が持つ商標と同一または類似のドメイン名を使用したWebサイトを開設し,ユーザーの誤認混同を目論む行為

 大手企業で,「自社名.co.jp」「自社ブランド.co.jp」を取れていない会社は実はたくさんある。

 インターネット上のストリーミングソフトで有名な「リアルネットワークス」もその1つだ。米Real Networksのドメイン名は「real.com」だが,日本法人では「real.co.jp」ドメインを取得できていない。

 www.real.co.jpにアクセスすると,ポルノサイトが表示される。リアルネットワークスによると「real.co.jpは既に取られていた。買取の交渉も行ったが決裂した。(goo.co.jpのような移転申し立てが)できるのかどうか考慮中」という。

 ちなみに,「www.goo.co.jp」にアクセスすると転送される先は「www.real.co.jpドメイン」だ。このwww.real.co.jpは“しぶとい”サイトなので,会社のPCからアクセスするのはやめておくのがオススメだ。

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[斎藤健二, ITmedia]

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