News 2000年12月1日 11:44 PM 更新

NTTだけでFTTH全国展開は不可能――メリル調査部長

「日本全国に光ファイバー網を整備するのに約1300億ドル」。メリルリンチ調査部長はブロードバンドインフラの整備には政府の援助が必要だと強調した。

 メリルリンチ・ジャパン調査部長の太田清久氏は12月1日,リックテレコム主催のビジネスセミナーで講演。その中で同氏は,「政府の資金援助なしで広帯域インフラを全国に整備するのは非常に難しい」と述べた。

 政府は,2005年までに広帯域インターネットを日本全国に普及させるというIT基本戦略を策定(11月27日の記事参照)。30M〜100Mbpsの超高速アクセスを可能にする光ファイバー網の整備を進めるとしているが,太田氏は「NTTのFTTHの全国展開で約1300億ドルという試算が出ている。これだけの設備投資をNTTだけで負担するのは不可能」と指摘する。

 「ユニバーサルサービス(全国一律のサービス)によって,利用者があまりいない田舎のほうまで,光ファイバー網整備しなければならないのは,コストパフォーマンスが悪い。再々編の動きの中で,ユニバーサルサービスをなくそうという動きもあるが,政府は基金を設立して補助金を出すべきだ。さらに,その補助金はNTTだけでなく,DSLやCATV事業者にも提供する必要がある」(同氏)

 一方,大都市圏については,「来春あたりから,NTT,DSL事業者,CATV事業者による陣取り合戦が始まるだろう」(太田氏)と予測する。

[ITmedia]

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