News 2000年12月22日 10:19 PM 更新

個人サイトでの楽曲利用,MIDIユーザーの猛反対も文化庁が認可

JASRACが文化庁に申請していた楽曲のネット配信に関する使用料規定が,一部修正のもと認可された。

 日本音楽著作権協会(JASRAC)が,文化庁長官に申請していた音楽のインターネット配信の使用料規定(8月17日の記事参照 )が,12月18日に一部修正のもと認可された。商用の音楽配信サービスについては申請内容と同じ7.7%(または7.7円の多いほう)だが,個人サイトでの楽曲の利用については,申請した「10曲まで年額1万円,または月額1000円」が,「1曲につき年額1200円,または1年以内の利用の場合は月額150円」に修正されている。

 今回,個人サイトでの利用について修正が加えられたのは,「BGMとしてごく少数の楽曲が利用される場合に,10曲単位での課金は適切ではない」とした文化庁著作権審議会の判断による。BGMという例を挙げているのは,JASRACでは特にMIDI音源の使用について規定しようとしているためだ。

 ただ,JASRACが自ら認めるように,個人サイトへの課金は世界的にもあまり例がない。しかも,自作が多いMIDIファイルに対してだ。そのため,使用料規定を申請してからというもの,JASRACには苦情の電話やメールが殺到した。さらに文化庁で8月25日から9月22日にかけて行った個人サイト課金についての意見募集では,1万1000件以上の意見が寄せられたが,文化庁著作権審議会によれば,「Web上で再生するだけで,ダウンロードできないのに料金を徴収するのはおかしい」など反対意見が大多数だったという。

 それでもJASRACは,「MP3は違法だと感覚的に分かっても,耳コピで自作したMIDIだったらいいじゃないかという苦情がよくあるが,それは,著作権というものを理解していない」と強調。「“150円くらいなら,払わなくてもいい”と考えるユーザーも少なくないだろう。カラオケの時も最初は猛反対にあったが,今では,全国の75%のカラオケ店が著作権料を支払っている」と理解を求めるが,金額ではなく課金そのものに異を唱えているMIDIユーザーからの反発は必至だろう。

 個人サイトでの料金徴収は,7月1日より実施される予定。なおJASRACでは,課金方法や未払いユーザーに対する措置など,運用面の詳細については「今後検討する」としている。

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▼ 日本音楽著作権協会

[中村琢磨, ITmedia]

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