News 2001年1月5日 09:41 PM 更新

DSL等普及促進税制は役不足?

DSLやCATVインターネットに必要な設備を購入したときの税負担が軽くなるDSL等普及促進税制。しかし,そのインパクトは小さいようだ。

 郵政省(現在は総務省)は,2000年12月末に「広帯域加入者網普及促進税制」(DSL等普及促進税制)を発表した。これは,2001年4月より,電気通信事業者などがDSLやCATVインターネットに必要な設備を購入した場合,国税および地方税を軽減するというもの。高速インターネットインフラの整備を促進し,「我が国におけるIT革命の早期実現に資する」(郵政省)のが目的だ。しかし,優遇されるはずの事業者たちの受け止め方は冷静のようだ。

 DSL等普及促進税制では,電気通信基盤充実臨時措置法に基づいて実施計画の認定を受けた電気通信事業者および有線放送電話事業者を対象とし,2001年4月1日から2003年3月31日までに購入した設備類に関して,税制特例を認める。具体的な対象設備は,DSLで使用するDSLAMやスプリッタ,FWA(Fixed Wireless Access:加入者系無線アクセスシステム)の無線設備や回線接続装置,そしてCATVインターネットのケーブルモデム。これらの機器を購入した事業者は,国税の「特別償却18%」(機器を導入した初年度に関して,購入価格の18%を償却してよい)と,地方税の「取得後5年度分について課税標準3/4」(機器購入後5年間,課税対象金額を通常の4分の3に軽減する)を認められる。

 例えば1000万円分の機器を購入したとき,地方税では750万円分として処理できることになる。ただし,税率は変わらないため,「大規模な投資をする企業なら多少は効力があるだろうが,実際の効果は小さい」(ある事業者)という見方が一般的のようだ。また国税でも,通常,初年度に約16.7%を償却(機器の償却期間は6年間)するため,それが18%になったところで大きな違いはない。

 “IT革命”を謳う割にインパクトの小さい広帯域加入者網普及促進税制。広帯域インフラ普及のため,より踏み込んだ政策を期待したい。

関連リンク
▼ DSL等普及促進税制の創設(郵政省)

[芹澤隆徳, ITmedia]

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