News 2001年1月10日 10:11 PM 更新

松下,IT軸に「超・製造業」を目指す

松下が発表した2001年度経営方針では,ネット家電の開発を重点項目に掲げた。ハードとサービスを一体で提供することで,単なる家電メーカーからの脱皮を図っていく。

 松下電器産業は1月10日,2001年度経営方針を発表した。それによると,2003年度までの中期計画「創生21計画」のキックオフイヤーとして,全社的な組織再編を含む大規模な改革を断行する。成長の軸としてネット家電開発や関連デバイスに注力するほか,社内システムを含むIT関連に3年間で1400億円の巨額投資を行う。さらにサービスを重要な差別化要因として事業の根本に据え,21世紀も生き残る「超・製造業」を目指す。

 成長戦略上の重点項目として挙げられたネット家電開発では,「商品3カ年計画」を策定して本格的なネット時代の到来を見据えた商品開発を進める。

 技術部門でも,成長が見込めるソフトウェア,ネットワーク,材料・プロセス,半導体,環境・エネルギーの5分野を「重点技術」に選定。デバイス部門では松下電子工業の合併を含む人員・部門シフトも実施。ディスプレイデバイスなどモバイル分野のキーデバイスをメインに,ネット家電を支える技術開発を加速させる。

 これらハードウェア開発に加え,新戦略では「サービス」も重要な柱に据える。同社のサービスとは「ハード以外の,ユーザーにとって価値あるものすべて」。ユーザーサポートから基幹系システム構築,コンテンツ制作まで幅広い。中村邦夫社長は「ソリューションとは呼ばず,あくまで『サービス』」と松下の伝統をにじませたオリジナリティを重視。「デジタルネットワーク時代では商品の性能と質が均一化する」(同社)としてトータルなサービスを差別化の武器とし,販売だけでなく開発・製造面でも発想の原点とする。

 そのためネット家電分野でも,ネットショッピングやバンキング,電子健康チェッカーを活用した健康管理,デジタルテレビと次世代携帯電話との連携など,機器と不可分に結びついたサービスも同時に手がける。機器の開発にとどまらず,長年築いた家電とブランドの強みに付加価値の高いサービスも一体で提供することで,単なる家電メーカーを超えた「超・製造業」への脱皮を図るという。

 こうした成長戦略の基盤となるのが全社的な構造改革だ。今後3年間のIT投資により,調達のEC化やデバイス部門や家電部門へのSCM導入などで効率化していく。また商品企画から開発・設計,生産でのプロセスもITを活用して刷新,市場ニーズに合わせてスピーディに商品を投入できる体制を構築する。

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